ニッケイ太郎 「課長、手術が決まったらしい」
グッデイ花子 「入院すれば何十万円もかかるだろうし、健康保険で3割負担といっても、それなりに出費が大変だね」
ニッケイ太郎 「いや、そうでもない。健康保険には『高額療養費制度』というのがあって、自己負担額の上限はかなり抑えられるんだよ」
グッデイ花子 「本当? 誰でも使える仕組みなの?」
ニッケイ太郎 「そう。手続きが必要だけどね」
グッデイ花子 「お金の心配をあまりせずに、治療を受けられるのはありがたいね」
国民皆保険制度が備える、頼りになるセーフティーネット

日本の公的医療保険制度は、「国民皆保険制度」と言われ、世界中からうらやまれるほどの手厚い制度になっています。全国民は何らかの医療保険(国民健康保険、組合健康保険、共済組合など)に加入することになっており、保険を適用して受けられる医療の水準も、世界的に見ても高いといえます。海外には、民間の医療保険だけで、公的医療保険がない国も少なくなく、たとえあったとしても受けられる医療に制限があることが多いのです。
日本の場合、窓口での自己負担金は、加入者が、小学校入学前であれば2割、小学校入学以後70歳未満は3割、そして、70歳以上は2割(現役並み所得者は3割)で済みます。自治体によっては、中学校卒業までは自己負担金をゼロにしているところもあります。
一方、医療技術の進歩により、医療費はどんどん押し上げられています。近年、とりわけ話題になっているのは、高額の薬剤費です。例えば、関節リウマチの治療薬で、生物学的製剤と呼ばれる薬剤は、免疫系に働きかける薬を遺伝子組み換えによって作り出しますのでコストがかさみます。また、抗がん剤の分野では、分子標的治療薬といわれる、がん発症に関わる特定の分子を狙い撃ちにする薬が増えています。
これらはいずれも高額な薬で、月額の薬剤費が数十万から数百万円という薬も珍しくなくなりました。健康保険で2~3割の負担で済むといっても、「高額すぎて、とても払いきれない」と嘆く人が出てきても当然です。
しかし、日本の医療制度には、高額の医療費をカバーする仕組みがあります。
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