いかがですか。「私もこのシチュエーションで飲んだことがある!」という方も多いのではないでしょうか。実は私も小さい頃にたくさん飲んでいました。
なぜ製薬会社はそんなクスリを作るんだ!と思う方がおられるかもしれませんが、製薬会社さんもこのような事実を皆が知っているわけではありません。営業担当者にお伝えすると驚かれることは多いのです。
そして、このクスリはダメだと言うだけでなく、上述のような代替案について紹介します。たとえば「細菌性咽頭炎ではA薬を使うのではなく、きっちり診断できた場合はB薬を使うよう医師に勧めてあげるのはいかがでしょう?」と説明すると、喜ばれることが多いです。
また、医師も、経口第三世代セフェムを良かれと思って処方している場合がほとんどなのです。悪意はなく善意で処方しているのです。
しかし、だからといって漫然と処方を受け続け、飲み続けていてもよいのでしょうか。抗菌薬が他のクスリと圧倒的に違うところは、悪影響が内服した本人のみに留まらず、周囲の人たちへも及び得るところです。
では、もし今後処方された場合にどうするか。どのようなアクションを起こすかにもちろん決まりはありません。処方されるがままに内服する、あるいは何も言わずに捨ててしまう、というのは建設的ではなく、状況に変化を起こすことはできません。たとえば医師にこの記事を見せながら相談するのもひとつだと思います(ぜひとも笑顔で相談しましょう!)。
自分や愛する人、未来の子どもたちのためにも、見て見ぬ振りはもうできないのです。医療者のみに頼ってるだけではなかなかうまくいきません。ぜひ皆で力を合わせてより良い社会を築いていきましょう!
抗菌薬の濫用は、耐性菌の増加も招きます。これまで「切り札」とされてきた抗菌薬も効かないような多剤耐性菌の蔓延が世界的にも大きな問題となっており、2015年5月の世界保健総会では、薬剤耐性(AMR)に関するグローバル・アクション・プランが採択され、加盟各国は2年以内に薬剤耐性に関する国家行動計画を策定することを求められました。
これを受け、日本でも厚生労働省が2016年4月5日に「国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議」を開きました。ここで取りまとめられたアクションプランでは、日本では経口第三世代セフェム(セファロスポリン)、キノロン系薬(フルオロキノロン)、マクロライド系薬の使用頻度が高いことを指摘し、2020年までにこれらの薬の使用量を2013年の水準の半分にするという成果指標を掲げています(全抗菌薬も3分の2にまで減少させるというプランです)。この内容は無料で閲覧できます(こちらをクリック)。
注意)本連載は、医療否定を訴えるものではありません。必要な薬をテキトーに自己判断で中止するのはいけません!くれぐれもご注意いただければと思います。
やわらぎクリニック副院長

現在は、やわらぎクリニック(奈良県生駒郡)副院長として父親とともに地元医療に貢献すべく奮闘中。3姉妹の父親で趣味は家族旅行。