理由1:飲んでも腸からほとんど吸収されない

「経口第三世代セフェム」は、せっかく内服しても、腸からほとんど吸収されずに便とともに排泄されてしまいます。これは致命的ですよね。
いろいろな文献を見てみると、10数%~多くても50%程度しか、血中には移行しないようです(*1)。たとえば同じセフェム系抗菌薬のうち、第一世代であるセファレキシンだと90%以上だったりします(じゃあ第三世代じゃなくて第一世代にすればいいんだ!…というのは短絡的すぎますのでご注意ください。何よりもその感染症に適応があるかが大切になります)。
10数%~50%程度しか血中に移行しないということは、逆に言えば、半分~8割程度が便に行っちゃっている、つまり、効いてほしい場所まで抗菌薬が十分に届いていないのです(例えば肺炎なら、血流に乗って肺に届いて効いてほしい…のに便に出ちゃうのです)。
そのくせ、腸の中では大事な腸内細菌を殺してしまうので、おなかの調子を壊す人もいます。これでは、いったい何のために薬を飲んでいるのかわかりません。
あまりに吸収されずに便に出てしまうため、だいたいウンコになってしまうことに着目したある専門家は、この抗菌薬を「DU薬(DAITAI UNKO)」と呼び親しんでいます(*2)(ちなみにこの方はウンコの専門家ではなく、感染症の専門家です)。
「やっぱビフィズス菌っしょ!」とか言って、いろいろな乳酸菌のドリンクや健康食品に手を出している人ですら、抗菌薬を飲んで知らず知らずのうちに腸内細菌を殺してしまっていることがあるんです。
*2 日経メディカルAナーシング 「忽那賢志の『感染症相談室』」