日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > 話題の論文 拾い読み!  > 植物性たんぱく質に脳卒中などの予防効果か  > 2ページ目
印刷

話題の論文 拾い読み!

植物性たんぱく質に脳卒中などの予防効果か

高血圧がない人で特に大きなリスク減少、日本の大規模疫学研究より

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 2015年11月15日まで、平均13.9年追跡したところ、その間に1213人(男性649人、女性594人)が死亡していました。うち354人(29.2%)が心血管疾患により死亡しており、そのうち144人の死因は脳卒中(88人が脳梗塞、28人が脳出血、28人はそれ以外の脳卒中)でした。

 植物性たんぱく質の摂取量と心血管疾患による死亡の関係を調べたところ、脂質やナトリウムの摂取量やBMI(体格指数)とは無関係に、両者には逆相関関係があることが明らかになりました。植物性たんぱく質エネルギー比率が1%増加するごとに、心血管疾患死亡のリスクは14%低下していました。

 心血管疾患を、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)、脳卒中(脳梗塞や脳出血)、脳梗塞、脳出血というサブグループに分けて分析すると、脳出血による死亡は、植物性たんぱく質摂取量との間にやはり逆相関関係を示しました。植物性たんぱく質のエネルギー比率が1%増加するごとに、脳出血による死亡リスクは42%低下していました。それ以外のサブグループでは、植物性たんぱく質摂取量との間に統計学的に有意性な関係は見られませんでした。

高血圧でない人の方が植物性たんぱく質の利益が大きい可能性

 次に、対象者を高血圧の人と高血圧ではない人に分けて分析しました。その結果、植物性たんぱく質の摂取と心血管疾患による死亡の間の逆相関関係は、高血圧でない人々の方が強力にみられることが示されました。高血圧でない人では、植物性たんぱく質のエネルギー比率が1%増加するごとに、心血管疾患死亡のリスクは32%低下していましたが、高血圧患者では統計学的に有意なリスク低下は見られませんでした。

 サブグループについても同様に分析したところ、高血圧でない人は、植物性たんぱく質エネルギー比率が1%増加するごとに、脳卒中による死亡のリスクが50%低下することが示唆されました。高血圧患者では、統計学的に意味のあるリスク低下はみられませんでした。なお、脳出血で死亡した患者はもともと少なく、さらに高血圧の有無で対象者を分けて分析したためか、高血圧のある人でもない人でも統計学的に有意なリスク低下は見られませんでした。

 著者らは、「植物性たんぱく質の積極的な摂取は、特に高血圧のない人たちにおいて、将来の心血管疾患を予防する可能性がある。今後、そのメカニズムを明らかにする研究が必要である」と述べています。

 論文は、2018年8月9日付のJournal of Atherosclerosis and Thrombosis誌電子版に掲載されました(*2)。

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

先頭へ

前へ

2/2 page

日経グッデイ初割春割キャンペーン2022

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 放置すると命を脅かす「高血圧」 140未満でも油断禁物

    収縮期血圧(上の血圧)が基準値の140より低くても130以上であれば「高値血圧」と言い、生活改善が望まれる。そこで本記事では、なぜ血圧を下げる必要があるのかや、手軽で効果的な「血圧リセット術」について紹介する。今年こそ、高血圧を改善しよう。

  • 健康長寿の生命線! 放置は禁物 「腎臓」の異常値

    生命維持に欠かせないさまざまな機能を担っている腎臓は、よほど悪くならない限り悲鳴を上げない「沈黙の臓器」でもある。本記事では、大切な腎機能が失われる前に、異常値にどう対処すればいいか、腎臓を守るためにはどのような生活習慣に気を付けていけばいいかについて解説する。

  • 加齢で進む胃の不調 機能性ディスペプシアと逆流性食道炎の原因と対策

    加齢により胃の機能が衰えると、さまざまな不調が起きる。ピロリ菌の除菌が進んで胃がんや胃潰瘍が減ってきた今、胃の病気の主役は、胃もたれや胃痛の症状を招く「機能性ディスペプシア」と、胸やけやげっぷが起きる「逆流性食道炎」の2つに移行しつつある。なぜ機能性ディスペプシアと逆流性食道炎は起きるのか、どのような治療が必要なのか、セルフケアで改善・予防できるのか。このテーマ別特集では、胃の不調の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設 日経Gooday初割キャンペーン2022

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2022 Nikkei Inc. All rights reserved.