植物性たんぱく質に脳卒中などの予防効果か
高血圧がない人で特に大きなリスク減少、日本の大規模疫学研究より
大西淳子=医学ジャーナリスト
30歳以上の日本人を対象にした大規模疫学研究で、大豆などに豊富に含まれる植物性たんぱく質の摂取量が多い人ほど、心筋梗塞や脳卒中による死亡リスクが低いという逆相関関係があることが明らかになりました。この逆相関関係は、特に高血圧がない人々において強くみられることも分かりました。

植物性たんぱく質の量と心血管疾患死亡リスクは逆相関関係
日本を含む東アジアの国々では、西欧諸国に比べて脳卒中患者の割合が高く、血圧管理の重要性が高いと考えられています。これまでに、血圧の高さは植物性たんぱく質の摂取量と逆相関するという研究結果が報告されていますが、植物性たんぱく質の摂取量と、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患のリスクの関係は明らかになっていませんでした。
そこで、慶應大学衛生学公衆衛生学の栗原綾子氏らは、植物性たんぱく質の摂取と心血管疾患による死亡の関係について調べるために、NIPPON DATA 90(*1)という大規模疫研究の参加者の中から、条件を満たす人々を選びました。
この研究に参加した時点では心血管疾患ではなかった7744人(平均年齢52.6歳、男性3224人、女性4520人)を分析対象にしました。それらの人々について、登録時に収集した連続3日間の食事記録に基づいて、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の摂取量を計算しました。1日当たりの植物性たんぱく質の摂取量の平均は、摂取エネルギー量の7.2%(植物性たんぱく質エネルギー比率)に相当しており、男性では7.1%、女性は7.3%でした。
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