日本食はやはり長寿に関係 よく食べる人は死亡リスクが低い
約9万3000人の日本人のデータを分析
大西淳子=医学ジャーナリスト
米、味噌汁、海藻、漬物、緑黄色野菜、魚介類、緑茶といった、日本食によく用いられる食材を多く摂取している人は、そうでない人に比べて死亡リスクが低いことが、東北大学が行った研究で明らかになりました。

日本食を特徴づける8種類の食材と死亡リスクの関係は?
日本人の長寿の一部は食生活によってもたらされていると考えられています。今回、東北大学大学院公衆衛生学の松山紗奈江氏らは、国立がん研究センターなどが推進しているJPHC研究(多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究)の一環として、日本の各地に住む中高年者の食事の摂取状況を調べ、あらゆる原因による死亡(総死亡)、および心血管疾患による死亡との関係を検討しました。
分析対象となったのは、東北から沖縄までのさまざまな地域に住んでいた45~74歳の日本人です。それらの人々は、1995~1998年の調査で147の食材の摂取頻度に関する質問に回答していました。
食事の内容が日本食に近いかどうかは、Japanese Diet Index(JDI8)と呼ばれる日本食インデックスのスコア(スコア幅は0~8)を用いて評価しました。JDI8スコアは、米、味噌汁、海藻、漬物、緑黄色野菜(緑色野菜、ニンジン、カボチャ、トマトなど)、魚介類(生魚、干物、缶詰、魚加工製品など)、緑茶の摂取量の多さ(*1)と、牛肉および豚肉(加工肉も含む)の摂取量の少なさ(*2)に基づくスコアで、合計スコアは0~8の範囲となり、高スコアほど、日本食的食材の摂取量が多いことを意味します。今回は、対象者をJDI8スコアが0~2、3、4~5、6~8の4群に層別化しました。
*2 男女別の摂取量の中央値未満であれば1ポイント、中央値以上なら0ポイントとする
JDI8スコアは、高齢者、男性、毎日飲酒する人、運動している人、摂取エネルギーの総量が多い人で高く、年齢が若い人、喫煙者では低い傾向が見られました。
対象者のうち、摂取エネルギー量が多すぎた人や少なすぎた人、がん、脳卒中、心筋梗塞、慢性肝疾患などを経験していた人を除外し、残りの9万2969人(平均年齢56.5歳、男性4万2700人、女性5万269人)を分析対象としました。