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話題の論文 拾い読み!

週に5回以上入浴する人は心血管の状態が良好

温熱効果に加えて水圧が血液の循環を促進

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 入浴頻度が週に4回以下だった人々に比べ、週に5回以上入浴する人のbaPWV、中心脈圧、BNP濃度は低く、循環器疾患の危険因子(高血圧、2型糖尿病、脂質異常症など)の有無を考慮して分析しても有意差が見られました。詳しく分析したところ、入浴の頻度が高いことは、中心脈圧、BNP値が低いことと関係しており、入浴温度が熱めであることは、baPWVが低いことと関係していました。

測定値の解説

baPWV:上腕-足首間脈波伝播速度。心臓から体の各部位への血液の伝達速度を表すもので、動脈硬化が進んでいる人ほど血管の抵抗が大きいため、伝達速度は速くなる。

中心脈圧:中心血圧(体の中心部にある上行大動脈の推定血圧)の最高値と最低値の差のこと。腎臓のような末梢臓器の障害や循環器疾患による死亡などと強力に関係する。

BNP: B型ナトリウム利尿ペプチド。BNPは心臓で生成され分泌されるホルモンで、血中BNP濃度は心臓にかかっている負荷の程度を示し、心不全の指標でもある。

IMT:頸動脈内膜中膜厚。超音波で測定した、頸動脈の内膜と中膜の複合体の厚さ。アテローム性動脈硬化(動脈の内側にコレステロールがたまり、お粥のように固まって内腔が狭くなっている状態)の標準的な診断指標で、今回は平均値と最大値を測定した。

※これらの測定値は全て、小さいほうが心臓や血管の状態が良好であることを意味する。


 さらに、873人のうち長期間追跡できた人々を対象に、入浴習慣と、個々の測定値の経時的な変化の関係を調べました。入浴頻度が週に4回以下だった42人と、5回以上入浴していた124人、合わせて166人を平均4.9年追跡しました。入浴が週に4回以下の人と比較すると、週に5回以上入浴していた人では、経時的なBNPの上昇が有意に小さくなっていました。また、中程度以下の湯温に比べ、熱めのお湯につかることは、IMTの最大値の増加とbaPWVの上昇が小さいことに関係する傾向が見られました。なお、湯船に入っている時間の長さは、どの指標とも関係していませんでした。

 今回の研究で得られた結果は、入浴、特に熱めの湯船につかることが、心血管機能の保護に役立つ可能性を示しました。気温が下がってくるこの時期は、お風呂に湯を張っての入浴習慣を身につけるのに格好の時期といえるのではないでしょうか。

 論文は、2018年6月21日付のScientific Reports誌電子版に掲載されています(*1)。

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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