日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

日経 Gooday

ホーム  > 医療・予防  > 話題の論文 拾い読み!  > 高齢者のパソコンやゲームは認知症予防に役立ちそう  > 2ページ
印刷

話題の論文 拾い読み!

高齢者のパソコンやゲームは認知症予防に役立ちそう

脳を刺激する活動をより多く行うことが大切

 大西淳子=医学ジャーナリスト

中年期でも高齢期でも効果がありそうなのは「コンピュータ操作」

 まず、脳を活性化する各種活動を行った時期とMCIリスクの低下を検討したところ、「読書」以外の活動の実施は、MCI発症リスクの低下をもたらす可能性が示されました(表1)。

 「社会参加」と「ゲーム」は中年期以降継続している場合に、「ハンドクラフト」は高齢期に実施した場合に、MCIリスクの低下に関係していました。「コンピュータ操作」は、どの時点で行っていても、MCIリスクの低下に関係していました。

表1 脳を活性化する各種活動を行った時期とMCIリスクの低下
(出典:Neurology. 2019 Aug 6;93(6):e548-e558.)
[画像のクリックで拡大表示]

 中年期に実施した「活動の数」と70歳以降のMCI発症の間には、有意な関係は見られませんでした。一方で、高齢期での活動の数は、多いほどMCIリスクが低い可能性が示唆されました(活動が2つだと28%低下、3つだと45%低下、4つだと56%低下、すべてだと43%低下)。

 次に、各活動の「頻度」とMCIリスクの関係を年齢群別に検討しました。高齢期では、毎日読書をし、週に5~6回から毎日コンピュータを操作し、頻繁すぎない社会参加またはハンドクラフト、そして、高頻度または低頻度のゲームが、MCI発症リスクの低下と関係することが示されました(表2)。

表2 高齢期の各活動の頻度とMCIリスクの低下
(出典:Neurology. 2019 Aug 6;93(6):e548-e558.)
[画像のクリックで拡大表示]

 同様に中年期では、週に5~6回から毎日コンピュータを操作すること、低頻度の社会参加またはハンドクラフト、あらゆる頻度のゲームが、70歳以降のMCI発症リスクの低下に関係することが示されました(表3)。

表3 中年期の各活動の頻度とMCIリスクの低下
(出典:Neurology. 2019 Aug 6;93(6):e548-e558.)
[画像のクリックで拡大表示]

 施設などに入所していない高齢者を対象とした今回の研究で、特に高齢期に脳を刺激する活動をより多く行うことが、MCI発症リスクの低下に関係することが明らかになりました。いずれの活動も容易に開始でき、工夫すれば安価に行えます。既に高齢者の仲間入りをしていても、こうした活動を始めれば、認知機能の維持において利益が得られる可能性がありそうです。

 論文は、Neurology誌2019年8月6日号に掲載されています(*1)。

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

先頭へ

前へ

2/2 page

日経グッデイ春割キャンペーン

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールを上げる実践的な対策

    健康診断で多くの人が気にする「コレステロール」。異常値を放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や狭心症のリスクが高まっていく。数値が悪くても自覚症状がないため、対策を講じない人も少なくないが、異常値を放置しておいてはいけない。では、具体的にどのような対策を打てばいいのだろうか。今回のテーマ別特集では、健診結果のコレステロール値の見方から、具体的な対策までを一挙に紹介していこう。

  • 老化を進める「糖化」から身を守る対策とは?

    “老けにくい”体にしたいというのは誰もが共通に思うこと。その老化の原因の1つとして最近注目されているのが「糖化」だ。この糖化、見た目の老化はもちろん、体内の血管や内臓、骨、関節などの機能低下にも密接に関わっているという。糖化リスクを遠ざけ、老化を遅らせるためには何を実践すればいいのだろうか。今回のテーマ別特集では、糖化の健康への影響から、その対策までを一挙に紹介しよう。

  • 歩くだけではダメ? 失敗しない運動習慣の作り方

    「ひと駅前で降りて歩く」「テレビを見ながら軽い筋トレをする」…これをもって「運動習慣がある」と思っている人は意外と多い。しかし、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんは「強度の低い運動、筋肉がつかないような運動は、いくら続けても十分な成果が得られません」と断言する。では、健康診断で引っかかった数値を改善したり、カロリーを消費して減量したり、病気を予防するといった目的を達成するためには、どのような運動をすればいいのだろうか?

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Goodayマイドクター申し込み

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2020 Nikkei Inc. All rights reserved.