高齢者のパソコンやゲームは認知症予防に役立ちそう
脳を刺激する活動をより多く行うことが大切
大西淳子=医学ジャーナリスト
高齢者が毎日本を読み、週に5~6回以上パソコンを操作し、適度な社会参加またはハンドクラフト(手工芸)に取り組み、アナログなゲームをすることが、軽度認知障害(MCI)のリスクの低下に役立つ可能性があることが、米国の研究で分かりました。

70歳以上の高齢者2000人の活動状況を追跡
これまでに行われた研究でも、脳を刺激するような活動が、認知症の発症リスクの低下に関係することが報告されています。
今回、米メイヨー・クリニックなどの研究者たちは、米国の70歳以上の人々を対象に、中年期と高齢期の(1)読書、(2)コンピュータ(パソコン)操作、(3)社会参加(友人と出かける、映画を見に行くなど)、(4)ゲーム(電子的ではない、カードゲームやクロスワードパズルなど)、(5)ハンドクラフト(陶芸やキルト作り、縫い物などの手工芸)の5種類の活動と、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の発症リスクの関係を調べました。
対象としたのは、「Mayo Clinic Study of Aging」という観察研究に参加し、長期追跡されたミネソタ州オルムステッド郡の人々です。参加者の中から、研究参加時に70歳以上で、当初の認知機能は正常で、5種類の活動の実施状況(どれをいつ、どのくらいの頻度で行っていたか)に関する調査に回答し、その後15カ月ごとに認知機能の評価を受けていた2000人(年齢の中央値は77.8歳、49.9%が男性)を選出しました。
追跡は、MCIを発症するまで、または研究期間の終了まで、中央値5.0年行いました。その間に532人がMCIを発症していました。