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話題の論文 拾い読み!

HPVワクチン、子宮頸がんリスク63%減 世界初のエビデンス

男性の接種もがんリスクの低減に役立つ

 大西淳子=医学ジャーナリスト

日本におけるワクチンへの信頼度は149カ国中最低

 HPVワクチンが定期接種になっているにもかかわらず、積極的推奨が行われなくなった流れが、日本の国民の予防接種に対する信頼を失わせたのではないか、と考察している論文も、先頃英国のLancet誌に発表されました(*5)。なんと、世界149カ国を対象とする調査で、ワクチンへの信頼度が最低だった国が日本でした。

 著者である英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のAlexandre de Figueiredo氏らは、「ワクチンに対する信頼の低下は、予防接種率の低下を引き起こし、ワクチンで予防できる感染症の流行を引き起こし、また、新型コロナウイルス感染症のような新興感染症に対するワクチンが開発されても、接種率の上昇を妨げる可能性がある」と考えて、今回の研究を行いました。

 分析したのは、2015年9月から2019年12月までに、世界149カ国で18歳以上の人々を対象に行われた290件の調査(対象者は28万4381人)のデータです。「ワクチンは安全だと思うか」、「子どもたちが予防接種を受けることは大切だと思うか」、「ワクチンは有効だと思うか」という3つ質問に対する回答に基づいて、ワクチン信頼度を評価したところ、世界で最も低いと見なされたのは、日本でした。そうなった原因は、2013年にメディアに大きく取り上げられ、注目を集めた、HPVワクチンの安全性に対する懸念にあると著者らは考えています。 

医師らによる啓発活動の輪が広がる

 今年8月、この状況に危機感を覚えた医師や専門家からなる「一般社団法人HPVについての情報を広く発信する会」が、HPV感染症やHPVワクチンについての啓発活動を行う「みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」を開始しました。同プロジェクトのサイトでは、子宮頸がんやHPVワクチンについての基本的な情報から最新の知見まで、信頼できる情報を提供しています。

 男性・女性を問わず、もしがんと診断されたら、そのとき自分が受けるであろう大きなショックと、治療に要する時間と費用、闘病生活が、自分や家族に及ぼす影響は計り知れません。HPV関連のがんなら、ワクチンで予防することができます。

 今回ご紹介した情報や、信頼できる啓発サイトの情報などを参考に、子どもたちにHPVワクチンを接種させるべきかどうか、接種した場合の利益とリスクはどのくらいなのかをじっくりと考えていただければと思います。接種を受ける際は、インターネットで「HPVワクチンを接種可能な病院」などと検索すれば、最寄りの医療機関を探し出せます。

 もし接種後に何らかの症状が現れた場合、対応する医療機関が都道府県ごとに選定されています(*6)ので、ご相談ください。

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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