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話題の論文 拾い読み!

睡眠時間は短すぎても長すぎても認知症リスクが高まる

5時間未満と10時間以上でリスク上昇、日本の高齢者における研究

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 最長10年の追跡期間中に294人(男性110人、女性184人)が認知症を発症しました。うちアルツハイマー病は197人、血管性認知症は76人でした。死亡したのは282人でした。うち66人の死因は心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中など)で、108人はがん、42人は呼吸器感染症でした。

 睡眠時間が5時間~7時間未満の人々を参照群として比較すると、年齢と性別を考慮した認知症の発症率と死亡率は、5時間未満の人々と10時間以上の人々で高くなっていました。BMI(体格指数)や高血圧、糖尿病、飲酒習慣、喫煙習慣なども考慮してそれぞれのリスクを算出したところ、睡眠時間が短い集団と長い集団におけるリスク上昇は明らかでした。5時間~7時間未満の人々に比べ、5時間未満の人の認知症のリスクは2.64倍、あらゆる原因による死亡のリスクは2.29倍でした(図1)。

図1 睡眠時間と認知症リスク・死亡リスクの関係
睡眠時間が5時間未満の人は認知症リスクが2.64倍、死亡リスクが2.29倍。10時間以上の人はそれぞれ2.23倍、1.67倍に上昇していた。(データ出典:J Am Geriatr Soc. 2018 Jun 6. doi: 10.1111/jgs.15446.)
[画像のクリックで拡大表示]

 同様に、睡眠時間が10時間以上の人の認知症リスクは参照群の2.23倍で、死亡のリスクは1.67倍でした。認知症のタイプがアルツハイマー病だった人、血管性認知症だった人を分けて、それらの発症と睡眠時間の関係を調べても、同様の関係が認められました。

 最後に、認知症と死亡のリスクに睡眠薬の使用が及ぼす影響について検討しました。睡眠時間は問わずに、睡眠薬を使用していた人を1つのグループとして、睡眠時間が5時間~7時間未満で睡眠薬を使用していなかった人々と比較したところ、認知症のリスクは1.66倍、死亡のリスクは1.83倍で、いずれも統計学的に有意なリスク上昇が見られました。

 今回得られた結果は、高齢者の認知症と死亡の予防において、適切な睡眠時間を維持することが重要であることを示唆しています。

 論文は、2018年6月6日付のJournal of the American Geriatrics Society誌電子版に掲載されています(*1)。

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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