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話題の論文 拾い読み!

明かりをつけて眠る女性に肥満のリスク

正常体重で健康的な生活を送っている人ほど影響大

 大西淳子=医学ジャーナリスト

明かりをつけて眠るグループで肥満の発生率が上昇

 まず、追跡開始時点ですでに肥満(BMIが30以上)だった人の割合と、中心性肥満(*2)だった人を同定しました。続いて、追跡終了時点のBMIを追跡開始時点と比較して、過体重(BMIが25以上30未満)となった人や、肥満となった人を特定しました。

 その結果、追跡開始時点で、寝室がより明るかった集団ほど、肥満者が多い傾向が見られました。人工的な明かりをつけずに就寝していた女性を参照群とすると、肥満者の割合は、常夜灯群で1.01倍、室外光群は1.03倍、電灯/TV群は1.06倍でした。

 中心性肥満についても同様で、3通りの指標(腹囲、ウエスト-ヒップ比、ウエスト-身長比)のどれを用いても、参照群に比べ、人工的な明かりのある寝室で眠っていた人々において、中心性肥満者の割合が高くなっていました。人工的な明かりのある環境下で眠っていた女性(常夜灯群+室外光群+電灯/TV群)を合わせて参照群と比較すると、腹囲88cm以上のリスクは1.12倍、ウエスト-ヒップ比0.85以上は1.04倍、ウエスト-身長比0.5以上は1.07倍でした。

 睡眠時間や睡眠の質、日常的な運動量、摂取エネルギーなども考慮して分析すると、一部の関係は弱まりましたが、多くで上記と同様の結果が得られました。

 続いて、追跡期間中に過体重または肥満となった女性の割合について検討しました。

 寝室に人工的な光がついた状態で眠ることは、肥満の発生率の上昇に関係していました。常夜灯群+室外光群+電灯/TV群を合わせた集団の肥満の発生率は、参照群に比べ1.19倍でした。同様に、過体重の発生率も1.11倍になっていました。さらに、5kg以上の体重増加や、BMIの10%以上の増加の発生率も上昇する傾向が見られました。

 特に明るい環境で眠っていた電灯/TV群では、参照群と比較すると、追跡期間中に5kg以上の体重増加を経験した人の割合が1.17倍、BMIが10%以上増加した人の割合は1.13倍、BMIが25以上になった人の割合は1.22倍、BMIが30以上になった人の割合は1.33倍でした。

 さらに細分化したグループについての解析(サブグループ解析)を行ったところ、人工的な光の下での就寝が体重増加に与える影響は、BMIが18.5以上25未満の正常体重の女性で、より大きいことが分かりました(5kg以上の体重増加のリスクは参照群の1.17倍)。さらに興味深いことに、より健康的な食事を摂っている女性や、1週間の運動量が多い女性のほうが、寝室の人工的な光による体重増加リスクが高いこともわかりました。

 以上の結果は、就寝中の明かりは、健康な女性において体重の増加や肥満の危険因子である可能性を示しました。

 論文は、2019年6月10日付のJAMA Internal Medicine誌電子版に掲載されています(*3)。

*2 中心性肥満:内臓脂肪型肥満、リンゴ型肥満とも呼ばれる。腹囲が88cm以上、または、ウエスト-ヒップ比(ウエスト周囲径とヒップ周囲径の比)が0.85以上、もしくは、ウエスト-身長比(ウエスト周囲径と身長の比)が0.5以上
*3 Park YM, et al. JAMA Intern Med. 2019;179(8):1061-1071. doi:10.1001/jamainternmed.2019.0571
大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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