明かりをつけて眠る女性に肥満のリスク
正常体重で健康的な生活を送っている人ほど影響大
大西淳子=医学ジャーナリスト
睡眠中に人工的な光を浴びていると、体重が増加する可能性があることが、約4万4000人の女性を対象とした米国の研究で明らかになりました。

寝室の明かりは肥満と関係する? マウスの研究では「YES」
皆さんは寝るとき、寝室の明かりをどのようにしていますか。世の中には真っ暗でないと眠れないという人がいる一方で、テレビをつけたまま眠る人もいるでしょう。
今回、米国立衛生研究所(NIH)のYong-Moon Mark Park氏らは、35歳から74歳の女性を対象に、睡眠時の人工的な光と体重の増加の関係を調べる研究を行いました。
これまでに、マウスなどを対象に行われた実験では、夜間に人工光に照らされると、体内時計が狂ったり、睡眠障害が発生したりする可能性や、食欲が異常になって、体重増加や肥満が起こることが示されていました。人でも、睡眠不足が肥満を引き起こすことは示されていますが、寝室の明かりが肥満と関係するかどうかを検討した質の高い研究は行われていませんでした。
今回、研究の対象となったのは、2003年7月から2009年3月までに、米国の50の州とプエルトリコで行われた「Sister Study」に参加した35~74歳の女性4万3722人(平均年齢55.4歳)です。
最初に寝室の照明の状況を尋ねて、それから平均5.7年追跡し、BMI(*1)の変化を調べました。「就寝中に明かりを付けている」と回答した女性については、明かりの状況をさらに詳しく聞き、全体を4つのグループに分類しました。
- 就寝中は明かりを消す(参照群):7807人
- 寝室に小さな常夜灯またはクロックラジオのみ(常夜灯群):1万7320人
- 寝室外の電灯からの光の侵入あり(室外光群):1万3471人
- 寝室内の電灯またはテレビをほぼ一晩中付けたまま(電灯/TV群):5124人