日本食をよく食べる人は認知症になりにくい
米、味噌汁、海草、漬け物、緑黄色野菜、魚、緑茶の摂取が多いほどリスクは低下
大西淳子=医学ジャーナリスト
日本食に認知症を予防する可能性があることが、東北大学大学院公衆衛生学分野の遠又靖丈氏らが行った研究で明らかになりました。論文は、2016年6月29日付の「Journal of Gerontology: MEDICAL SCIENCES」電子版に掲載されています(*1)。
宮城県の高齢者1万4000人を5年追跡

日本食が健康に良いことは広く知られています。これまでに行われた、日本食と健康の関係を調べた研究では、主に「大豆製品、魚、海草、野菜、緑茶の摂取量が多い食事」を日本食とみなしていました。それらの食材に含まれるいくつかの成分、例えば、イソフラボンやn-3多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)、魚油などについては、それぞれ認知機能との関係が検討されています。そうした研究から、「日本的な食事には認知症の発症を予防する効果があるのではないか」と考えられるようになりました。
そこで著者らは、日本の高齢者の食事の内容と認知症発症の関係について調べてみました。
対象となったのは、宮城県大崎市に住む国民健康保険の加入者です。65歳以上の高齢者で、障害がないなどの条件を満たした1万4402人を、2006年12月から平均4.9年追跡しました。対象者の44.8%が男性で、平均年齢は73.8歳、BMI(*2)の平均は23.6でした。このうち99.1%が追跡を完了できました。
*2 Body Mass Index(体格指数)=体重kg/ (身長m)2
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