眠りの浅い「レム睡眠」が少ないと死亡リスクが高まる?
米国の研究、異なる2つの集団で同様の結果
大西淳子=医学ジャーナリスト
女性も含めた、より若い集団でも同様の結果を確認
続いて著者らは、女性も含む別の研究で得られたデータを分析しても、同様の結果になるかどうかを調べました。対象にしたのは、米ウィスコンシン州で30歳から60歳までの男女を登録し、1988年から現在まで追跡している観察研究のデータです。参加者は、登録後に医療機関で一晩を過ごし、睡眠ポリグラフ計を用いた検査を受けていました。
条件を満たした1386人(平均年齢51.5歳、男性が54.3%)を、約21年(中央値)追跡したところ、184人(13.3%)が死亡していました。
最初の研究と比べると、こちらの研究の方が追跡期間が長く、対象者の平均年齢が若い、といった違いがありましたが、レム睡眠の割合は同様で、0~43.0%の範囲にあり、平均は17.6%(67.8分)でした。こちらの集団でも、レム睡眠の割合が少ないことは、総死亡リスクが高いことと関係しており、レム睡眠の割合が5%減少するごとに、総死亡リスクは17%増加していました。このリスク上昇は女性でのみ有意でした。
最後に、睡眠時間に占める、レム睡眠と、ノンレム睡眠のN1ステージ(浅い睡眠)、N2ステージ(中程度の睡眠)、N3ステージ(深い睡眠)の割合と生存の関係を検討したところ、生存との関係が最も強いのは、レム睡眠の割合であることが示されました。
男女比や平均年齢が異なる2つの集団を対象とした今回の研究によって、レム睡眠の割合と死亡リスクの間に強力な関係があることが示されました。研究者たちは、「今後、レム睡眠がどのように死亡リスクに影響するのかを明らかにする必要がある」と述べています。
論文は2020年7月6日付JAMA Neurology誌電子版に掲載されています(*1)。
医学ジャーナリスト
