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話題の論文 拾い読み!

飲酒が乳がんリスクの上昇に関係 日本人女性でも確認

飲酒習慣がある人の乳がんリスクは、飲まない人の1.5倍

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 1988年から2009年までの期間に、3万3396人のうちの255人が乳がんを発症、または、発症後に乳がんで死亡していました。分析に影響する可能性のある要因を考慮した上で、乳がん発症リスクと、緑茶、コーヒー、アルコール飲料の摂取の関係を調べました。

 緑茶とコーヒーの摂取と乳がんリスクの間には、統計学的に有意な関係は見られませんでした。一方で、アルコール飲料の摂取は乳がんリスクの上昇に関係していました。お酒を飲まない人と比較した飲酒者の乳がん発症リスクは1.46倍と、46%高くなりました。

 飲酒頻度に基づいて飲酒者を層別化したところ、統計学的に有意な乳がんリスクの上昇が見られたのは飲酒頻度が週1回未満だった女性で、乳がんリスクは2.07倍と、飲まない女性に比べて107%も高くなっていました。しかし、それ以外の、週に1~2回、週に3~4回、毎日、と回答した女性のリスク上昇は有意にならず、飲酒頻度が増えるにつれてリスクが上昇する現象も見られませんでした。

 また、好んで飲むアルコール飲料が日本酒またはビールの場合には、乳がんリスクとの関係は有意になりませんでした。ワイン、ウィスキーの摂取は、統計学的に有意なレベルにわずかに足りないものの、リスク上昇傾向を示しました。ワイン愛飲者のリスクは、ワインを飲まない人に比べ1.8倍程度、ウィスキー愛飲者では1.7倍程度高いと推定されましたが、どちらも人数は少なく、750人程度でした。

飲酒の頻度と乳がんリスクに関係が見られなかった理由は?

 飲酒頻度が高いほど乳がんリスクも高くなる現象が見られなかったことについて、著者らは以下のように考察しています。

 「これまでに行われた、飲酒と乳がんリスクの関係について検討した研究では、アルコールの摂取が女性ホルモンであるエストロゲンの濃度を上昇させること、エストロゲンが乳がんの発症に関係すること、また、飲酒のパターンのうち、大量飲酒によるエストロゲン濃度の上昇が大きいことが示されている。今回対象となった女性の飲酒量については、特に週1回未満の人々においてデータが得られなかった人の割合が高かったため、分析できなかった。飲酒の頻度が週1回未満の女性が、頻度は少ないものの、1回で大量のアルコールを摂取していたと考えれば、他のグループよりもリスク上昇が大きかったことを説明できる可能性がある」

 論文は、Asian Pacific Journal of Cancer Prevention誌2020年6月1日号に掲載されています(*2)。

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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