4つの生活改善でがんの20~40%は予防可能
がんによる死亡のリスクも半減できる可能性
大西淳子=医学ジャーナリスト
喫煙や飲酒、肥満、運動不足などの生活要因は、がんの発症に重要な役割を果たすことが知られています。では、がんリスクを下げる方向にライフスタイルを変えれば、がんになるリスクと、がんによって死亡するリスクはどのくらい減らせるのでしょうか。
健康的な生活を送っていた人のがんリスクはどのくらい低い?

米ハーバード大学医学部などの研究者たちは、米国の男女の医療従事者を長く追跡して、がんになった、またはがんで死亡した患者のなかに、もし4つの生活改善を行っていれば、がんの発症またはがんによる死亡を予防できた可能性のある人がどれくらい含まれていたかを推定しました。4つの生活改善とは、(1)禁煙、(2)飲酒量を適度に抑える、(3)健康なレベルのBMI(*1)を維持する、(4)積極的に運動する―からなります。
分析対象になったのは、8万9571人の女性と4万6339人の男性です。
これらの人たちを、健康的なライフスタイルを送っていたか否かで「低リスク群」と「高リスク群」に分類しました。
- 喫煙歴なし、または禁煙済み
- 飲酒習慣なし、または適度(*2)の飲酒
- BMI 18.5以上27.5未満
- 激しい有酸素運動を週75分以上、または中強度の有酸素運動を週150分以上実施
上記の4項目すべてを実践できていた人は低リスク群、それ以外の人は高リスク群とし、環境要因が発症に大きく影響すると考えられている皮膚がんなどを除いた、様々な種類のがんの発症とそれによる死亡の発生率を比較しました。
*2 純アルコール換算で女性は14g以下、男性は同28g以下。純アルコール14gはビール350mLに相当。