日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > 話題の論文 拾い読み!  > 有酸素運動を半年続けると認知機能が向上
印刷

話題の論文 拾い読み!

有酸素運動を半年続けると認知機能が向上

普段あまり運動をしない平均年齢66歳、206人の介入試験の結果

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 普段あまり運動をしない中高年が、20~40分の有酸素運動を週4日、半年間続けると、一部の認知機能の改善がみられることが、カナダで行われた介入研究で明らかになりました。

有酸素運動を継続すると、認知機能に良い影響が。(C)dolgachov-123RF
有酸素運動を継続すると、認知機能に良い影響が。(C)dolgachov-123RF

運動は脳の血流を改善し、認知機能を高める?

 運動は中高年者に様々な利益をもたらすことが示されており、その中には脳の健康も含まれています。具体的には、記憶力、注意力、実行機能(目標を設定し、段取りを決めて実行する能力)などの認知機能や、脳血流に好ましい影響を及ぼすことが示されています。

 既にいくつかの研究が、運動と脳の血流の関係について検討していますが、これまでに、定期的な有酸素運動を長期間継続することが、脳血流の調節と認知機能に及ぼす影響は調べられていませんでした。そこでカナダ・カルガリー大学などの研究者たちは、普段運動をほとんどしない健康な成人に6カ月間のトレーニングをしてもらい、認知機能への影響を調べることにしました。

 対象としたのは、カナダのカルガリーに住む、普段運動をあまりしない、健康で認知機能も正常な中高年男女です。研究者たちは、以下の条件を満たす人を選びました:(1)BMI(体格指数)が35未満(※国際的な定義では30以上が肥満)(2)手助けなしに20段以上の階段の上り下りができる(3)心血管疾患または脳血管疾患、1型糖尿病、呼吸器疾患、神経疾患、認知機能障害の診断歴がない(4)1年以上にわたって喫煙しておらず、大手術または大外傷の経験はない(5)かかりつけ医が研究への参加を許可している。運動習慣については、「中強度までの運動を1日当たり30分以下、頻度は週に4日まで」、または「高強度の運動を1日当たり20分以下、週に1~2回まで」という条件を設定し、すべての条件を満たす286人を登録しました。

 有酸素運動のトレーニングを開始する6カ月前と、開始直前、さらに6カ月間のトレーニング終了後の計3回、認知機能と脳血管機能の評価を行いました。また、心肺機能の指標である最大酸素摂取量(VO2max)も測定しました。

 認知機能の評価は、処理速度、実行機能、言語記憶、図形記憶、言語流暢性、注意力といった項目について行いました。トレーニング開始前に2回の評価を行った理由の一つは、認知機能検査を複数回受けると、慣れによるスコアの向上が生じる可能性があるからです。著者らは、評価を2回行うことによって、事前に、検査慣れの影響が出やすい項目を特定しました。脳血管機能は、頭蓋骨の上から超音波のプローブを当てる経頭蓋超音波ドプラ検査で評価しました。

 有酸素運動のプログラムは、カルガリー大学で週3日行いました。有酸素運動前に5分間のウォーミングアップ、運動後に5分間のクールダウンとストレッチを行い、有酸素運動(*1)の時間は当初は20分とし、最大40分まで延長しました。運動の強度は、本人の予備心拍数に基づくVO2maxの30~45%のレベルから始めて、60~70%まで徐々に高めました。さらにトレーニング期間中は、自宅でも週に1回、プラン通りに有酸素運動を行うよう指示し、これを実践した記録と、それ以外に自主的に行った運動の記録を日誌につけるよう依頼しました。

*1 有酸素運動の内容は、「米スポーツ医学会のガイドラインに基づく」とされており、具体的なメニューは論文に明記されていない。

1/2 page

最後へ

次へ

認知症
ウォーキング
キーワード一覧へ

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 加齢で進む胃の不調 機能性ディスペプシアと逆流性食道炎の原因と対策

    加齢により胃の機能が衰えると、さまざまな不調が起きる。ピロリ菌の除菌が進んで胃がんや胃潰瘍が減ってきた今、胃の病気の主役は、胃もたれや胃痛の症状を招く「機能性ディスペプシア」と、胸やけやげっぷが起きる「逆流性食道炎」の2つに移行しつつある。なぜ機能性ディスペプシアと逆流性食道炎は起きるのか、どのような治療が必要なのか、セルフケアで改善・予防できるのか。このテーマ別特集では、胃の不調の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 「中途覚醒が多く寝た気がしない」 中高年の睡眠の悩み解消術

    「睡眠の途中で何度も目を覚まし、眠った気がしない」「早朝に目覚めてしまい、その後なかなか寝付けない」――。歳をとるにつれ、そんな「中途覚醒」「早朝覚醒」に悩まされるようになったという人も多いだろう。なぜ中途覚醒は起きるのか。中途覚醒を解消して、若い頃のような「熟睡」を手に入れることはできるのか。このテーマ別特集では、中途覚醒の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.