妊娠中の人工甘味料摂取が子どもの肥満の原因に?
毎日飲んでいた妊婦の子は1歳時点の過体重リスクが2倍
大西淳子=医学ジャーナリスト
妊娠中に人工甘味料を多く摂取した母親から生まれた子どもは、1歳時点で過体重になっているリスクが高いことが、カナダで行われた研究で分かりました。論文は、カナダManitoba大学のMeghan B. Azad氏らが2016年5月9日付の「JAMA Pediatrics」誌電子版に発表しました(*1)。
人工甘味料の日常的な使用は肥満や糖尿病に関係

肥満やその関連疾患には砂糖の摂取が強力に関係するため、砂糖の代替品や人工甘味料(天然には存在しない、合成された甘味料)が急速に普及しています。体重の増えすぎを気にする妊婦も例外ではありません。
ところが近年、そうした人工甘味料の日常的な使用が、実は肥満や糖尿病などの代謝性疾患のリスク上昇に関係していることを示す報告が増えています。理由は、現時点では明らかではありませんが、人工甘味料が糖代謝を変化させる、腸内細菌叢(腸内フローラ)を乱す、満腹感を得られにくくする、1日のエネルギー摂取を一定に保とうとする脳の働きを妨げる、といった可能性が想定されています。
今回、 Azad氏らは、近年増加している小児肥満と人工甘味料の関係に着目し、母親の妊娠中の人工甘味料の摂取が、生まれた子どもの体重増加に関係しているのではないかと考えました。そこで、カナダの妊婦の人工甘味料入り飲料の摂取頻度と、1歳時点の子どものBMI(体格指数=体重kg/〔身長m〕2 )の関係を検討することにしました。