ジャガイモ料理を頻繁に食べると高血圧リスクが上昇
ただしポテトチップスを除く
大西淳子=医学ジャーナリスト

ジャガイモ料理を食べる頻度が高い人ほど、高血圧になりやすい。ただしポテトチップスを除く―。そんな意外な研究結果が、2016年5月17日付の英国British Medical Journal(BMJ)誌電子版に掲載されました(*1)。
ジャガイモはカリウムの含有量が多く、カリウムの摂取は高血圧の予防になると考えられていますが、同時に糖質も多く含みます。ジャガイモ料理の摂取と高血圧の関係についてはこれまで、十分に研究されていませんでした。
そこで米国の研究者たちは、米国の男女の医療従事者を長年にわたって追跡した研究のデータを利用して、ベイクドポテト、ボイルドポテト、マッシュポテト、フレンチフライ、ポテトチップスの摂取と高血圧の関係を分析しました。その結果、ポテトチップスを除くジャガイモ料理を食べる頻度が高い人ほど、高血圧になりやすいことが明らかになったのです。
約19万人を20年追跡し、その間に約8万人が高血圧と診断
著者らが今回対象としたのは、さまざまな年齢の医療従事者のうち、追跡開始時点では高血圧がなく、過去1年間にどのような食べ物をどのくらいの頻度で食べていたかを尋ねる質問に回答していた18万7453人です。この人たちを約20年追跡し、高血圧と診断されたかどうかを調べました。
それぞれのジャガイモ料理の1回分の摂取量は、以下のように仮定しました。(1)ベイクドポテト、ボイルドポテト、マッシュポテトはジャガイモ1個分もしくは1カップ、(2)フレンチフライは113g(4オンス)または1皿、(3)ポテトチップスは小袋または28g(1オンス)。
これらを過去1年間にどのくらいの頻度で摂取していたかを質問し、回答に基づいて対象者を、「1カ月に1回未満」、「1カ月に1~3回」、「週に1~3回」、「週に4回以上」の4群に分けました。
約20年の追跡で、7万7726人が高血圧と診断されていました。
ジャガイモ料理の摂取頻度が1カ月に1回未満の人々を参照群とし、高血圧に関係するさまざまな要因を考慮した上で、摂取頻度がより高い人々の高血圧のリスクを推定しました。