日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > 話題の論文 拾い読み!  > 男性の新型コロナ EDリスク上昇の恐れ  > 2ページ目
印刷

話題の論文 拾い読み!

男性の新型コロナ EDリスク上昇の恐れ

イタリアで行われた小規模な研究で、未感染男性の5.7倍

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 参加者のうち、性的に活発だった男性985人の中から、分析対象としての条件を満たした人たちの情報を抽出しました。最初の分析では、「オンライン調査前に新型コロナウイルスに感染した」と自己申告した男性と特性(年齢、BMI、感じている不安の程度、抑うつの程度)がマッチする、新型コロナウイルス感染歴がない男性を、感染者1人につき3人まで選びました。不安の程度、抑うつの程度が同様の人々を選んだ理由は、EDの存在がこれらに影響を与える可能性が高いからです。

 EDの有無は、Sexual Health Inventory for Men(SHIM)(*1)を用いて評価し、スコアが21以下の男性を「EDあり」と判断しました。

感染後のED発症リスクは5.7倍に上昇

 新型コロナウイルス感染を経験していた25人と、感染歴のない75人を分析しました。感染歴のある25人のうち、7人(28%)が感染後にEDを発症していました。感染歴のない男性では、EDは7人(9.3%)にとどまり、それらの間には統計学的に有意な差が見られました。心理状態や年齢、BMIを考慮して分析したところ、新型コロナウイルス感染後のED発症リスクは、感染歴のない男性の5.66倍と推定されました。

 続いて、EDの有無によって新型コロナウイルスに感染するリスクが異なるかどうかを、年齢とBMIを考慮して分析したところ、ED患者の感染リスクは、そうではない男性の5.27倍になることが示唆されました。

 新型コロナウイルス感染歴やEDの有無などの情報は、すべて本人の自己申告に基づくものであり、新型コロナウイルス感染症を発症したかどうか、重症度などに関するデータは考慮されていないなど、この研究には不十分な点が複数あり、あくまで予備的なものと言えますが、EDが新型コロナウイルス感染の危険因子であること、感染の後遺症としてEDが生じる可能性があることを示唆しました。

 著者らは「これらの病気の間に因果関係があるかどうかを調べるためには、テストステロン(男性ホルモン)値の測定や、勃起時の血行動態の評価など、多様な検討が必要になる」としつつ、「それでも、新型コロナウイルスワクチンの接種と、マスク着用や手洗い、換気、密な場所を避けるといった個人的な感染予防策の徹底はおそらく、ED予防にも役立つだろう」と述べています。

 論文は、2021年3月20日付のAndrology誌電子版に掲載されています(*2)。

*1 Sexual Health Inventory for Men(SHIM)の日本語訳は、Mindsガイドラインライブラリを参照
*2 Sansone A, et al. Andrology. 2021 Mar 20. doi: 10.1111/andr.13003. Online ahead of print.
大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

先頭へ

前へ

2/2 page

新型コロナ
キーワード一覧へ
日経グッデイ初割春割キャンペーン2022

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 放置すると命を脅かす「高血圧」 140未満でも油断禁物

    収縮期血圧(上の血圧)が基準値の140より低くても130以上であれば「高値血圧」と言い、生活改善が望まれる。そこで本記事では、なぜ血圧を下げる必要があるのかや、手軽で効果的な「血圧リセット術」について紹介する。今年こそ、高血圧を改善しよう。

  • 健康長寿の生命線! 放置は禁物 「腎臓」の異常値

    生命維持に欠かせないさまざまな機能を担っている腎臓は、よほど悪くならない限り悲鳴を上げない「沈黙の臓器」でもある。本記事では、大切な腎機能が失われる前に、異常値にどう対処すればいいか、腎臓を守るためにはどのような生活習慣に気を付けていけばいいかについて解説する。

  • 加齢で進む胃の不調 機能性ディスペプシアと逆流性食道炎の原因と対策

    加齢により胃の機能が衰えると、さまざまな不調が起きる。ピロリ菌の除菌が進んで胃がんや胃潰瘍が減ってきた今、胃の病気の主役は、胃もたれや胃痛の症状を招く「機能性ディスペプシア」と、胸やけやげっぷが起きる「逆流性食道炎」の2つに移行しつつある。なぜ機能性ディスペプシアと逆流性食道炎は起きるのか、どのような治療が必要なのか、セルフケアで改善・予防できるのか。このテーマ別特集では、胃の不調の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設 日経Gooday初割キャンペーン2022

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2022 Nikkei Inc. All rights reserved.