自転車通勤はやはり体に良かった!
通勤距離が長いほど死亡リスクが低下、英国の研究
大西淳子=医学ジャーナリスト
自転車通勤をする人は、車や公共交通機関を使って通勤する人に比べ、がんや循環器疾患による死亡リスクの減少など、幅広い健康利益が得られること、徒歩での通勤も循環器疾患のリスクを減らすことが、中高年の英国人を対象に行われた研究で示されました。

26万人超を対象に、通勤手段と死亡リスクの関係を分析
これまで、自転車や徒歩での通勤は、日常生活の中で運動量を増やすための実用的な方法として推奨されてきましたが、実際にどの程度の健康利益があるのかは、ほとんど分かっていませんでした。
今回、英国の研究者たちは、40~69歳で、常時在宅勤務ではない労働者26万3450人(平均年齢は52.6歳、52%が女性)を対象に、通勤手段と死亡リスクの関係を分析しました。
まず、対象となった人々に、職場への往復に普段用いている方法を尋ね、回答を以下の5通りに分類しました。徒歩と自転車通勤の場合には、通勤距離も尋ねました。
- 非活動的手段(車やバイクと公共交通機関のいずれか、または両方)
- 徒歩のみ
- 徒歩と非活動的手段の組み合わせ
- 自転車(±徒歩)
- 自転車(±徒歩)と非活動的手段の組み合わせ
これら5通りの通勤手段と、あらゆる原因による死亡、循環器疾患による死亡、がんによる死亡と、循環器疾患の発症、がんの発症の関係を調べました。
死亡の有無を追跡した5年間に、2430人が死亡していました。496人は循環器疾患による死亡、1126人はがんによる死亡でした。
がんと循環器疾患の発症の有無を2.1年追跡したところ、その間に3748人ががんを、1110人は循環器疾患を発症していました。
これらの病気の発症と通勤手段にはどのような関係が見られたのでしょうか。