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話題の論文 拾い読み!

中高年までに体重が減った人は大腸腺腫のリスクも低下

大人の肥満の減量は大腸がん予防につながる可能性

 大西淳子=医学ジャーナリスト

中高年までに体重が減少していた人では大腸線種のリスクが低下

 大腸腺腫発症者と非発症者を比較すると、20歳時点のBMIには有意差は見られませんでしたが、50歳時点のBMIは、発症者のほうが有意に高くなっていました。

 体重が安定していた人たちを参照群としたとき、20歳から試験参加時点までに体重が減少していた人々では、大腸腺腫リスクが46%低下していました(表1)。絶対リスクとして大腸腺腫発症者の割合を推定すると、5.6%から3.5%に低下することが示されました。

 20歳から50歳までの体重減少も大腸腺腫発症リスクの低下と関係していましたが(43%減)、50歳から試験参加時点までの期間の体重減少の影響は小さく、有意な値になりませんでした。

 一方で、20歳から試験参加時点までの期間に、5年あたり3kgを超える体重増加を経験した人では、大腸腺腫リスクは30%上昇しており、大腸腺腫発症者の割合は、5.6%から7.9%に上昇することが示されました。

 それ以外の期間の、5年あたり3kg超の体重増加も、大腸腺腫リスクの上昇に関係する傾向は見られましたが、統計学的には有意な値にはなりませんでした。

表1 5年間あたりの体重の変化と大腸腺腫リスクの関係
表1 5年間あたりの体重の変化と大腸腺腫リスクの関係
人種、年齢、性別、赤身肉摂取量、食物繊維摂取量、エネルギー摂取量、評価開始時点(20歳または50歳)のBMI、喫煙習慣、2回目の大腸がん検診の受検年度を考慮して分析した。(出典:JNCI Cancer Spectrum. 6(1). February 2022, pkab098)

 次に、体重変化量の評価を開始した時点(20歳または50歳)のBMIで対象者を層別化し、分析しました。20歳時点でBMIが25以上(日本肥満学会の基準では肥満に該当)であり、試験参加時点までに0.5kg以上体重が減少していた人では、腺腫リスクが61%低下していました。一方で、20歳時点でBMIが25未満だった人でも、試験参加時点までの5年あたりの体重増加が3kgを超えれば、腺腫リスクは27%上昇することが示されました。

表2 5年間あたりの体重変化量と大腸腺腫リスク(追跡開始時点のBMIに基づく層別化)
表2 5年間あたりの体重変化量と大腸腺腫リスク(追跡開始時点のBMIに基づく層別化)
(出典:JNCI Cancer Spectrum. 6(1). February 2022, pkab098)

 また、50歳時点でBMIが25以上で、その後に体重が5年あたり3kg超増加していた人でも、腺腫リスクは有意に上昇していましたが、50歳時のBMIが25未満だった人が、5年あたり3kg超の体重増加を経験しても、リスク上昇は有意にはなりませんでした。

 対象者を性別で層別化すると、上述した関係は女性より男性で強力でした。

 得られた結果は、成人後に適正な体重を維持することが、大腸腺腫とこれに続く大腸がんの予防において大切であること、特に、20歳時点でBMIが25以上の人では、その後の減量がリスク低下に関係することを示しました。肥満解消の利益がまた一つ、追加されました。

大西淳子(おおにし じゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにし じゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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