日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > 話題の論文 拾い読み!  > 「寝すぎ」の人は脳卒中リスクが上昇  > 2ページ目
印刷

話題の論文 拾い読み!

「寝すぎ」の人は脳卒中リスクが上昇

「9時間睡眠」「90分を超える昼寝」「質の低い睡眠」は要注意

 大西淳子=医学ジャーナリスト

夜9時間以上寝ている人は脳卒中リスクが23%上昇

 6.2年の追跡で、1557人が脳卒中を発症していました。

 夜間の睡眠時間が7時間以上8時間未満のグループ(8570人)と比較すると、9時間以上のグループ(7580人)では、あらゆる脳卒中のリスクが有意に上昇していました(表1)。共変数を考慮して推定したリスク上昇は23%でした。一方で、睡眠時間が6時間未満と短かったグループ(368人)には、脳卒中リスクの上昇は見られませんでした。

 昼寝の時間が1~30分だった人(5167人)と比べると、90分超だった人(2415人)でのみ、あらゆる脳卒中のリスクが25%上昇していました。それ以外の人々(昼寝を全くしない人も含む)には、脳卒中リスクの上昇、低下のいずれも、見られませんでした。

 脳卒中のうち、虚血性脳卒中(脳梗塞)について分析しても結果は同様でしたが、出血性脳卒中(脳出血など)には睡眠時間の長短の影響は見られませんでした。

 睡眠の質が高い人に比べ低い人では、あらゆる脳卒中、虚血性脳卒中、出血性脳卒中のリスクが有意に高くなっていました。

表1 睡眠の時間や質と脳卒中リスク(抜粋)
(データ出典:Neurology. 2020;94:e345-e356.)
[画像のクリックで拡大表示]

「夜の睡眠9時間以上+睡眠の質が低い」で82%上昇

 次に、夜間の睡眠時間、昼寝の時間、睡眠の質の3つを組み合わせて、脳卒中リスクとの関係を調べました。「夜間の睡眠が7時間以上8時間未満で昼寝の時間は1~30分の人」を参照群にすると、「夜間の睡眠が9時間以上で昼寝が90分超の人」ではあらゆる脳卒中のリスクが85%も上昇し、「夜間の睡眠が9時間以上で睡眠の質が低い人」でも82%上昇していました。

 さらに、2008~2010年から2013年にかけて、睡眠時間が変化した人の脳卒中リスクを、睡眠時間が7時間超9時間未満から変化しなかった人と比較しました。すると、夜間の睡眠時間が7~9時間の睡眠から9時間以上に延びた人(44%上昇)と、一貫して9時間以上眠っていた人(35%上昇)のあらゆる脳卒中のリスクは高いことが示されました。

 今回の研究では、睡眠時間と脳卒中発症の間に因果関係があるかどうかは明らかになっていませんが、中高年者からなる大規模な集団において、夜間の睡眠時間を適切に維持すること、昼寝を長くしすぎないこと、睡眠の質を高めることが、脳卒中予防において重要であることが示唆されました。

 論文は、Neurology誌2020年1月28日号に掲載されています(*1)。

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

先頭へ

前へ

2/2 page

睡眠
キーワード一覧へ
日経グッデイ春割キャンペーン

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 肩の痛みから高血圧まで、「姿勢の崩れ」は様々な不調の原因に

    「姿勢」が、肩こりや腰痛の原因になることを知っている人は多いだろうが、足の痛みや高血圧、誤嚥性肺炎まで、全身の様々な不調・疾患の原因になることをご存じの方は少ないかもしれない。これまでに掲載した人気記事から、姿勢と様々な病気・不調との関係について知っておきたいことをコンパクトにまとめた。

  • あなたも「隠れ心房細動」?! 高齢化で急増する危険な不整脈

    脈の速さやリズムが乱れる「不整脈」。その一種である「心房細動」は、高齢化に伴い患者数が増加しており、潜在患者も含めると100万人を超えると言われている。心房細動の怖いところは、放置すると脳梗塞などの命に関わる病気を引き起こす可能性があることだ。本記事では、心房細動の症状や早期発見のコツ、治療のポイントなどをコンパクトにまとめた。

  • 変形性膝関節症のつらい痛みを改善する運動とは?

    年を取ると多くの人が感じる「膝の痛み」。その原因で最もよくあるケースが「変形性膝関節症」だ。膝が痛いと外出がおっくうになり、体を動かす機会が減るため、そのまま何もしないとますます足腰が衰えてしまう。だが実は、変形性膝関節症の痛みをとり、関節の動きを改善するために有効なのが、膝への負担を抑えた「運動」なのだ。ここでは、膝の痛みが起きる仕組みから、改善するための運動のやり方までをまとめよう。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設 日経Gooday春割キャンペーン

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.