妊娠を望む男女はカフェインのとりすぎに要注意
カフェイン飲料が1日2杯を超えると流産・死産のリスクが1.7倍に
大西淳子=医学ジャーナリスト
パートナーとともに妊娠を心待ちにし、産婦人科で「おめでたです」と言われた喜びもつかの間、流産や死産に終わってしまうことがあります。このほど米国で行われた研究で、カップルが妊娠前からカフェイン摂取に注意すれば、流産・死産のリスクを減らせる可能性があることが分かりました。論文は、2016年3月22日付の「Fertility and Sterility」誌電子版に掲載されています。
妊娠を望むカップルの喫煙量、飲酒量、カフェイン摂取量などを記録

研究を行ったのは、米国立小児保健発達研究所のGermaine M. Buck Louis氏らです。Louis氏らは、米国のテキサス州とミシガン州の16の郡で、以下の条件を満たす妊娠前のカップルを登録しました。(1)安定した関係にある(2)男女ともに不妊症と診断されていない(3)子供を望んで避妊をやめた(4)18歳から40歳までの女性と18歳以上の男性のペアであること、など。
登録時に面接調査を実施し、年齢や人種、これまでにかかったことのある病気などを尋ねました。また、喫煙量(本数)、飲酒量(ビール1本/1缶、ワイン1杯などを1単位とする)、カフェイン摂取量(コーヒー、紅茶はカップ1杯、炭酸飲料は1缶を1単位とする)、マルチビタミン(市販品と処方薬の両方)の摂取の有無を日誌に記録するよう依頼しました。
その後、これらのカップルを追跡したところ、12カ月以内に344人の女性が妊娠しました(双子を妊娠していた女性は対象から除外)。妊娠した女性には、それまでと同様に7週目(日本の数え方では妊娠10週目)まで日誌を付けるよう指示しました。それ以降は1カ月分ずつまとめて記録するよう依頼しました。
女性だけでなく男性のカフェイン摂取も流産・死産と関係
344人中98人(28%)の女性が流産・死産を経験しました。流産・死産のリスクの上昇に関係する妊娠前の要因を分析したところ、(1)女性が35歳以上である(2)男女ともにカフェイン含有飲料を1日に2単位(2杯)を超えて摂取していた―の2つが関係していることが分かりました。
女性の年齢が35歳以上だった場合、35歳未満と比較すると流産・死産のリスクは1.96倍になりました。また、カフェイン含有飲料を1日2杯超飲んでいた男性は、摂取量が2杯以下だった男性に比べパートナーが流産・死産を経験するリスクは1.73倍でした。同様に、摂取量が2杯超だった女性では、2杯以下だった女性に比べ流産・死産のリスクは1.74倍でした。