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話題の論文 拾い読み!

血糖値を上げやすい食事は不眠症のリスクを高める可能性

果物、野菜などはリスク低下に関係、閉経女性を対象とした米国の研究

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 炭水化物の摂取と不眠症の関係に影響を及ぼす可能性がある要因として、年齢、人種、学歴、年収、1人暮らしかパートナーありか、子どもと一緒に暮らしているか、喫煙習慣、飲酒習慣、カフェイン摂取量、うつ症状の有無、運動量、BMI(体格指数)、高血圧、心筋梗塞、心血管疾患、喘息、ほてり、ホルモン補充療法、いびきなどに関する情報を収集しました。

 食事のGI値は、摂取した炭水化物を含む全食品のそれぞれのGI値に対して、個々の摂取量で重み付けして求めた平均値(加重平均)としました。食事のGL値は、摂取していた、炭水化物を含む全ての食品のGL値の合計としました。

 不眠症との関係を検討したのは、食事のGI値、食事のGL値と、食品に含まれる炭水化物に分類される成分(糖類、でんぷん、食物繊維)、および炭水化物を含むいくつかの食品です。GI値、GL値については、低い人から順番に一番高い人までを一列に並べて5等分し、最低のグループ(最低五分位群)と最高のグループ(最高五分位群)を比較しました。その他の成分や食品については、摂取量が一番少ない人から一番多い人までを一列に並べて5等分し、最低五分位群と最高五分位群を比較しました。

精製穀物や糖類が添加された食品を多くとる人は不眠症リスク上昇

 検討結果は表1の通りです。

表1 研究参加時点で摂取していた食事の内容と、その時点で不眠症であるリスク/その後不眠症になるリスク
(データ出典:Am J Clin Nutr. 2020 Feb 1;111(2):429-439.)
[画像のクリックで拡大表示]

 調査参加時点で不眠症であるリスクが高いことに関係していたのは、GI値が高いこと(最高五分位群の平均値は56.4)、添加された糖類の摂取量が多いこと(同80.5g)、精製された穀物の摂取量が多いこと(同5.34オンス)でした。一方、不眠症であるリスクが低いことと関係していたのは、食物繊維の摂取量が多いこと(同21.1g)、精製されていない全粒穀物の摂取量が多いこと(同2.29オンス)、果物の摂取量が多いこと(同2.74カップ)、野菜の摂取量が多いこと(同2.22カップ)でした(注:1オンス=28.35g、1カップ=236.588mL)

 一方、その時点では不眠症でなかった女性が3年後までに不眠症を発症するリスクが高いことに関係していたのは、GI値が高いこと(最高五分位群56.3)、GL値が高いこと(同146.5g/日)、添加された糖類の摂取量が多いこと(同79.2g)、でんぷんの摂取量が多いこと(同119.3g)、精製穀物の摂取量が多いこと(同5.26オンス)で、不眠症になるリスクが低いことに関係していたのは、果物の摂取量が多いこと(同2.75カップ)、野菜の摂取量が多いこと(同2.21カップ)でした。

 以上のことから、この研究は、高GI食は閉経女性において不眠症の危険因子であることを示しました。また、果物、野菜などは不眠症リスクを低下させる可能性が示されました。著者らは、「今後、高GI食を、全粒穀物や、食物繊維が多い炭水化物などと置き換えると、不眠症が改善するかどうか、不眠症予防になるかどうかを評価する無作為化(ランダム化)試験が必要だ」と述べています。

 論文はAmerican Journal of Clinical Nutrition誌2020年2月号に掲載されています(*2)。

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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