寒いところで運動したほうが脂肪は燃える
気温21度に比べ、気温0度では脂肪燃焼率が最大3.6倍に
大西淳子=医学ジャーナリスト
参加者は、セッション当日の16時にそれぞれ通常の夕食を食べてから研究施設に到着し、18時45分から15分間、室温21度または0度の環境で座って安静にした後、19時にHIIEを開始しました。終了後、20時に、たんぱく質と炭水化物を多く含む栄養バー(炭水化物45g、脂肪5g、たんぱく質9gを含有)を食べ、22時に就寝しました。
翌朝は7時45分から採血を受け、8時15分に高脂肪食(組成は 炭水化物26%、脂質66%、たんぱく質8%)を摂取しました。その後、9時から12時まで、1時間ごとに採血を受けました。
室温0度での脂肪燃焼率は最大3.6倍に上昇
分析の結果、HIIE中の脂肪燃焼率は、室温0度のほうが有意に高く、21度での実施に比べ最大358%になっていました。また、10サイクルのうち、1~4回目に比べ6~10回目のほうが、脂肪燃焼率が有意に高いことも明らかになりました。一方で、室温が違っても、HIIE中のエネルギー消費量や、炭水化物の燃焼率には差はありませんでした。
翌日の高脂肪食摂取後には、脂肪と炭水化物の燃焼率や、血漿(けっしょう)中のインスリン濃度、中性脂肪値に差は見られませんでした。しかし、血中LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値は、朝食後2時間の時点のみ、0度で運動した人のほうが有意に高くなっていました。食後の血中脂質量の上昇は、2型糖尿病や肝臓病、心血管疾患の発症に関連するため、こちらの結果はやや心配なものになりました。「低温下での高強度インターバル運動が翌朝のLDLコレステロール値を高める仕組みについては、今後検討する必要がある」と著者らは述べています。
論文は、Applied Physiology誌2021年2月18日号に掲載されています(*3)。
医学ジャーナリスト
