少量でも習慣的な飲酒は脳に影響か
1日にビール1缶前後の飲酒者でも脳の体積が減少 英国の研究
大西淳子=医学ジャーナリスト
純アルコール8gを超える飲酒者は灰白質などが縮んでいた
MRI画像に見られる脳の灰白質全体の体積と白質全体の体積は、飲酒量が増えるほど小さくなっていました。結果に影響する可能性のある要因(年齢、身長、性別、喫煙歴、社会経済的地位、遺伝的な背景など)を考慮した分析を行ったところ、1日に1単位(純アルコール8g)を超えて飲酒する全ての人において、それらの体積は有意に減少していました。男性、女性を分けて分析しても、同様の結果になりました。飲酒なし、または1日1単位以下の場合は、有意な変化は見られませんでした。
灰白質については、全灰白質のほぼ90%の領域の体積に飲酒は悪影響を及ぼすことが示唆されました。部位別に体積の減少と日常的な飲酒の関係を検討したところ、前頭葉、頭頂葉、島皮質、側頭部、帯状回、被殻、扁桃体、脳幹で、それらの関係は強力でした。
続いて、白質の微細構造と飲酒の関係について検討したところ、飲酒量が増えるにつれて、白質の微細構造が不健康な状態になっていました。具体的には、神経線維が集まって走行しているいくつかの部位に、飲酒による統合性の低下(*3)が見られました。
今回の研究結果は、英国人においては、性別に関わりなく、1日に1単位を超える飲酒の継続は脳のマクロ構造(脳全体または各部の体積)と微細構造(白質統合性)に好ましくない変化をもたらす恐れがあること、飲酒量が増えればその関係は強力になることを示唆しました。
医学ジャーナリスト
