日焼けサロンの利用で女性の悪性黒色腫が増加
30歳未満では利用経験のない女性の6倍のリスク
大西淳子=医学ジャーナリスト
米国全体とミネソタ州で、50歳未満の女性の悪性黒色腫(メラノーマ)の患者が急増しています。悪性黒色腫は、皮膚の色に関係するメラニンという色素を作る色素細胞(メラノサイト)ががん化した腫瘍で、皮膚がんの中では最も悪性度が高く、死亡率が高いことが知られています。米ミネソタ大学のDeAnn Lazovich氏らはこのほど、米国女性における悪性黒色腫の急増の原因の一つが、若い女性のインドアタンニング(日焼けサロン)の利用にあることを明らかにしました。
悪性黒色腫の女性はインドアタンニングの利用経験者が多い

研究者たちは、50歳未満の男女を対象として、インドアタンニングと悪性黒色腫の関係を調べました。まず、ミネソタ州在住で、2004~2007年に悪性黒色腫と診断され、診断時の年齢が25歳から49歳だった681人の患者(うち465人が女性)を選びました。次に、それらの患者と年齢と性別が同じで、悪性黒色腫ではない654人の対照群(うち446人が女性)を選出しました。全員に、11歳から49歳までのインドアタンニングの利用経験を尋ねました。
両群の人々を年齢(30歳未満、30~39歳、40~49歳)と性別に基づいて分類したところ、30歳未満で悪性黒色腫と診断されていたのは76人で、うち63人が女性でした。同様に、30代で悪性黒色腫と診断されたのは198人で、うち140人が女性、40代で悪性黒色腫と診断されたのは407人で、うち262人が女性でした。
悪性黒色腫患者の女性と対照群の女性の、屋外で日光に当たっていた時間の長さには差はありませんでした。一方で、インドアタンニングの利用経験を持つ女性は患者群に多く見られました。
年齢別にみると、40歳未満の女性では、患者群の95.1%、対照群の80.6%がインドアタンニングの利用経験がありました。30歳未満の女性では、患者群96.8%、対照群83.6%でした。5年間の利用回数の中央値はそれぞれ110回と95回で、利用開始年齢はいずれも16歳でした。
このデータを利用して、30歳未満のインドアタンニング経験を持つ女性の悪性黒色腫リスクを推定したところ、どんな結果が出たでしょうか。