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話題の論文 拾い読み!

「座りっぱなし」の人は軽い運動を30分すると死亡リスクが低下

運動強度は低くてOK、こまめに立ち上がるだけでは不十分

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 対象となったのは、米国の45歳以上の人々を登録して、脳卒中リスクに人種差や地域差があるかどうかを検討した「REGARDSスタディ」に参加した人々です。それらの人々は、2009~2013年に、腰に活動量計を装着する検査を受けていました。7日間連続で、目覚めている間は加速度計を装着する生活を送るよう指示し、1日に10時間以上の装着を4日以上できていた7999人(平均年齢63.5歳、男性45.9%)を選んで、今回の分析対象にしました。

 活動量計の数値に基づき、活動時間を分単位で「座位」、「低強度活動」、「中高強度活動」に分類し、それぞれの累積時間を計算して、活動量計を10時間以上装着した日の平均を求めました。

 活動量計によると、対象者の低強度活動時間は平均188.0分/日で、中高強度活動時間は平均13.2分/日でした。装着時間の77.6%は座位で過ごしていました。

座位時間の30分を軽い運動に置き換えると死亡リスクが17%低下

 活動量計を用いた調査の終了から5.5年間(最短0.1年、最長7.6年)の追跡期間中に、647人が死亡していました。

 置き換えモデルを用いた分析では、1日の座位時間のうちの30分を、30分の低強度活動に置き換えると、死亡リスクが17%低下することが示唆されました。さらに、30分の中高強度活動に置き換えれば、リスクは35%低下することが示されました。

 次に対象者を、通常の運動時間が少ない人々と、通常の運動時間が長い人に分けて、運動への置き換えの利益を調べました。1日の活動量計装着時間に占める運動時間が、集団全体の中央値より下だった人々では、低強度活動または中高強度活動への置き換えは、死亡リスクを低下させることが示されました。一方で、運動時間が集団全体の中央値より上だった人々では、運動への置き換えの利益は見られませんでした。

 なお、今回の研究では、連続する座位時間に中断を加えるだけでは、死亡リスクに影響は認められませんでした

 以上より、座りっぱなしの生活による死亡のリスク上昇を軽減するためには、運動への置き換えが有効であること、運動強度が低くても、30分の置き換えが利益をもたらすことを示唆しました。

 論文は、American Journal of Epidemiology誌2019年3月1日号に掲載されています(*1)。

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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