「座りっぱなし」の人は軽い運動を30分すると死亡リスクが低下
運動強度は低くてOK、こまめに立ち上がるだけでは不十分
大西淳子=医学ジャーナリスト
1日中座りっぱなしの生活を送ることは、心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患のリスクや死亡リスクの上昇と関係することが知られています。その対策として、「定期的に立ち上がり、連続して座っている時間を短くする」、あるいは「中強度から高強度の運動をする」ことにより死亡リスクは下がるという報告がありました。
このほど、米コロンビア大学の研究者らは、より質の高い方法を用いた研究を行い、「強度にかかわらず、運動をすれば、座り続けることによる健康被害を減らせる可能性がある」ことを示しました。

立ち上がって軽い運動を行うだけでも死亡リスクは低下する?
今回著者らは、「1日に座って過ごす時間(総座位時間)が長い人は、軽い運動を行うだけでも死亡リスクは低下するのか」また、「短時間の運動でも利益が得られるのか」といった疑問に対する答えを得たいと考えました。研究に用いたのは、運動疫学分野で近年よく用いられるようになった「ある行動を等量の別の行動に置き換えたときの影響を推定する手法(置き換えモデル)」です。
この種の分析方法では、人の1日の活動を、強度に基づいて、睡眠時間、座っている時間(座位時間)、低強度活動時間、中高強度活動時間に分類します。それらの時間は、それぞれ別個に、健康にさまざまな影響を及ぼすと考えられています。
著者らは、座位時間を低強度活動または中高強度活動に置き換えた場合に死亡リスクに影響があるのか、また、総座位時間が同じでも、連続する座位時間に中断を加えて、短い座位時間の集合とした場合に、死亡リスクが変化するのかを検討しようと考えました。
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