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話題の論文 拾い読み!

半年のウォーキングで認知機能が向上する

運動不足の中高年の「段取り能力」が改善

 大西淳子=医学ジャーナリスト

有酸素運動はウォーキングかサイクリングマシンを週3回

 有酸素運動を行うグループには、当初3カ月間は、週3回、運動強度が最大心拍数の70~85%になるレベルの運動を行うよう指導しました。1回の運動は、ウォームアップ10分、35分間の連続ウォーキングまたはサイクリングマシン漕ぎとし、運動の様子を監視しました。その後の3カ月間は、自宅で同様の運動を行うよう指示しました。

 DASH食の指導を受けるグループは、当初3カ月間は週1回30分間、それ以降は隔週で30分ずつ、専門家からの教育、指導、カウンセリングなどを受けました。

 対照群には、当初3カ月間は週1回、それ以降は隔週で電話して、心血管系の健康に関連する教育を30分間行いました。6カ月間は、通常どおりの食事と運動を続けるよう指示しました。

 その結果、有酸素運動を行ったグループでは、DASH食の実施の有無にかかわらず、運動負荷試験の成績が向上し、6分間に歩行できる距離も延びるなど、身体機能が向上していました。歩数計を装着して測定した1日の歩数にも増加が見られました。

 また、6カ月後の心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中など)のリスクは、対照群に比べ、有酸素運動群とDASH食群の両方で低下していました。

 実行機能は、有酸素運動を行ったグループでは向上していましたが、DASH食を行ったグループには変化は見られませんでした。ただし、有酸素運動のみのグループに比べ、有酸素運動とともにDASH食も実施したグループのほうが、実行機能の改善は大きくなっていました。どのグループにも、記憶や言語流暢性の改善は見られませんでした。

 以上より、普段から座ってばかりで、心血管疾患の危険因子を持ち、認知機能が低下している55歳以上の成人が有酸素運動を行うと、認知機能のうちの実行機能が改善することが分かりました。

 論文は、Neurology誌2019年1月15日号に掲載されています(*2)。

参考:実行機能の評価に用いられた指標

  • Trail Making Test(TMT): 1から25までの数字が不規則に配置されている紙をもらい、できるだけ早く正確に、数字を1から順に線で結ぶ。
  • Stroop Test:色の名前を、さまざまな色で書いたものを見て、書かれた文字を読む、またはその文字が書かれている色を答える。
  • Wechsler成人知能検査の数唱(順唱と逆唱):試験官がたとえば「1、5、9」と言ったら、順唱なら「159」、逆唱なら「951」と答える。数字の桁数を増やして何桁まで正確に解答できるかを調べる。
  • Animal Namingテスト:動物の名前をできるだけ多く言う。
  • Ruff 2 & 7検査:視覚的注意と選択的注意の能力を評価する。
大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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