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話題の論文 拾い読み!

HPVワクチン接種開始後、英国で子宮頸がんが大幅に減少

12~13歳で接種機会があった集団では87%減

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 子宮頸がんなどの予防目的で接種するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種対象となった若い世代の女性において、子宮頸がんの発症リスクが最大で87%も減少していることが、英国の研究(*1)で明らかになりました。

HPVワクチンの接種率の高かった集団では、子宮頸がんの発症リスクが9割近く減少していました。(写真=PIXTA)
HPVワクチンの接種率の高かった集団では、子宮頸がんの発症リスクが9割近く減少していました。(写真=PIXTA)

接種機会があった女性となかった女性の子宮頸がんリスクを比較

 日本でも、2022年4月にHPVワクチンの積極的な勧奨が再開されます。HPVワクチンは、世界的には2007年から接種が始まり、ワクチンが標的としている型のHPVの感染を予防する効果と、子宮頸部異形成を予防する効果が示されています。さらに、このワクチンが実際に子宮頸がんの発生率を減らすことを示した研究結果 関連記事参照 も報告されていますが、その数は多くありませんでした。

 今回、英国の研究者たちは、イングランドでHPVワクチンプログラムが開始され、接種機会が与えられた女性たちを追跡し、30歳未満での子宮頸がんおよび子宮頸部高度異形成の発症予防効果を検証することにしました。

子宮頸部異形成とは

子宮頸がん検診では、子宮頸部から採取した標本を用いて細胞診(細胞の形を見てがんか正常かを判断する検査)を行います。細胞診で見られた正常ではない細胞は子宮頸部異形成と呼ばれ、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成・上皮内がんに分類されます。異形成は、がんと正常の中間の状態を意味しますが、高度異形成は子宮頸がんの一歩手前、すなわち前がん状態と見なされます。

 英国では、2008年9月1日に2価のHPVワクチンを用いる接種プログラムが開始され、2012年9月1日以降は4価のワクチンに切り替えられています(*2)。今回の分析は2価ワクチンの接種者に限定しました。プログラムは、開始時点で通常の接種対象である12~13歳だった女性に加えて、14~18歳の女性にも段階的に接種の機会を提供しました。

 比較対象(参照群)にしたのは、接種開始時点で対象年齢をわずかに超えていたために接種を受けられなかった女性(1989年5月1日から1990年8月31日までに生まれた女性)です。これらの女性たちについて、イングランドのがん登録の2006年1月1日から2019年6月30日までの情報を利用して、20歳以上30歳未満の女性の子宮頸がんまたは子宮頸部高度異形成の発生の有無を調べました。

*1 Falcaro M, et al. Lancet. 2021 Dec 4;398(10316):2084-2092. https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)02178-4/fulltext

*2 HPVには200種類以上の型があり、少なくとも15種類が子宮頸がんの原因となることが知られている 関連記事参照 。2価のHPVワクチンは、子宮頸がんリスクが最も高いHPV16型と18型の感染を防ぐことができる。これにより、子宮頸がんの50~70%を防げると予想されています。4価のワクチンは、16型、18型に加えて、6型と11型に対する免疫を付与する。

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