痛風の発症リスクが77%減少する4つの条件とは?
最も影響するのは肥満、約4万5000人の米国人男性を対象とした研究
大西淳子=医学ジャーナリスト
減量して、お酒をやめ、質の高い食事を取り、利尿薬を使用しなければ、痛風の発症を77%抑制できる可能性があることが、約4万5000人の米国人男性を対象とした研究で示されました。

高尿酸血症の危険因子を改善すると、痛風の発症も減る?
痛風患者は世界的に増加しており、有効な予防策が求められています。痛風は、血液中の尿酸値が高い状態(高尿酸血症)を放置しているうちに、結晶となった尿酸が関節、足先などに蓄積して、それらの部位に炎症が発生し、腫れ上がって激痛が起きた状態をいいます。
高尿酸血症の危険因子は明らかになっていますが、それらを改善すると、その後に痛風を発症するリスクがどの程度低下するかは明らかになっていませんでした。そこで、米国の研究者たちは、BMI(体格指数、*1)、飲酒習慣、食習慣、利尿薬の使用(*2)という、高尿酸血症の4つの危険因子を改善することが、痛風発症にどのような影響を及ぼすかを調べることにしました。
分析対象にしたのは、米国の男性医療従事者を登録して行われたHPFS研究のデータです。1986年に登録された、痛風ではない、40歳から75歳までの男性医療従事者4万4654人(平均年齢54歳)のデータを26年間追跡したところ、1741人(3.9%)が痛風を発症していました。
高尿酸血症の4つの危険因子を踏まえ、痛風リスクが最も低いのは、以下の条件に該当する場合と定義しました:BMIが25未満、飲酒しない、DASH食(*3)の遵守度が上位20%(80パーセンタイルから100パーセンタイルの範囲)に該当する、利尿薬の使用なし。
*2 利尿薬は尿量を増やす薬で、高血圧や浮腫、心不全の治療に用いられる。服用すると尿酸の排泄が低下し、血液中の尿酸値が上昇することがある。
*3 DASH食:米国で高血圧患者向けに考案された食事法。食物繊維やミネラル(カリウム・マグネシウム・カルシウムなど)、たんぱく質を多めに摂取し、飽和脂肪酸、コレステロール、塩分や糖質は少なめにする。