犬を飼う人の死亡リスクは低い、特に1人暮らしの中高年で顕著
飼い主の社会的な孤立を防ぎ、癒やしを与え、身体活動量を増やす
大西淳子=医学ジャーナリスト
犬を飼っていない人に比べ、飼っている人では、循環器疾患(狭心症、心筋梗塞、脳卒中など)による死亡と、総死亡(あらゆる原因による死亡)のリスクが低いことが、スウェーデンの中高年の国民を対象に行われた研究で示されました。犬との暮らしは、特に1人暮らしの人に大きな利益をもたらすようです。

循環器疾患の死亡リスクが23%、総死亡のリスクが20%低下
これまでにも、飼い犬は、飼い主が社会から孤立することを防ぎ、散歩などで運動への意欲を高めることによって、飼い主の循環器疾患のリスクを低下させる可能性があることが示されていました。
今回、スウェーデンUppsala大学のMwenya Mubanga氏らは、スウェーデン在住者を登録している大規模なデータベースを利用して、犬を飼うことと循環器疾患の発症やそれらによる死亡に関係があるかどうかを検討しました。
対象は、スウェーデン在住の40~80歳の343万2153人(平均年齢57歳、48%が男性)です。これらの人々を最長12年間追跡し、急性心筋梗塞、心不全、虚血性脳卒中(脳梗塞)、出血性脳卒中(脳出血など)の発症と、それらによる死亡(循環器疾患死亡)、そして、総死亡の有無を調べました。
343万2153人のうち、12年間の追跡期間中のいずれかの時点で犬を飼っていたのは、13.1%でした。全体では、犬の飼い主は、犬を飼っていない人々に比べ、循環器疾患による死亡のリスクが23%低く、総死亡のリスクも20%低くなっていました。犬を飼うことによって得られる利益は、性別や年齢にかかわらず一貫して認められました。
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