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話題の論文 拾い読み!

乳製品をたくさん食べる人は死亡リスクが低い

低脂肪乳でも全乳でも差は見られず

 大西淳子=医学ジャーナリスト

乳製品の摂取量が多いほど死亡や循環器疾患のリスクは低下

 9.1年の追跡期間中に、6796人が死亡していました(循環器疾患以外による死亡が4796人、循環器疾患による死亡が2000人)。心筋梗塞を発症した人は2594人、脳卒中は2718人、心不全は516人でした。「死亡または循環器疾患発症のいずれか」(以下、複合イベント)を経験していた人数は、1万567人になりました。

 1日に2回を超えて乳製品を摂取する人の複合イベントのリスクは、乳製品を全く摂取しない人と比べて16%低くなっていました。死亡のリスクは17%減、循環器疾患発症のリスクは22%減でした。すべて、摂取量が増えるほど、リスクは低くなる傾向が認められました。

 個々の循環器疾患のうち、脳卒中のリスクは、乳製品を摂取しない人に比べ、1日に2回を超えて摂取する人のほうが34%も低くなっていました。一方で、心筋梗塞のリスクと乳製品の摂取量の間には、統計学的に有意な関係は見られませんでした。

 乳製品を全乳製品と低脂肪製品に分けて分析しても、結果は上記と同様でした。

 乳製品の種類別に見ると、牛乳の摂取については、全く飲まない人に比べ、1日に1回を超えて摂取していた人々の複合イベントのリスクは10%低く、循環器疾患のリスクも18%低いことが明らかになりました。死亡リスクとの間には有意な関係は見られませんでした。

 ヨーグルトでは、1日に1回を超えて摂取していた人の複合イベントのリスクは14%低く、死亡のリスクは17%低くなっていましたが、循環器疾患リスクの低下は統計学的に有意ではありませんでした。ただし、循環器疾患の場合も、ヨーグルトの摂取量が多い人ほどリスクは低い傾向が見られました。

 チーズの摂取量、バターの摂取量については、複合イベントや死亡との間に有意な関係は見られませんでした。

 最後に、乳製品由来の飽和脂肪酸の摂取量と、複合イベント、死亡の関係について検討しましたが、有意な関係は認められませんでした。

 今回得られた結果は、乳製品の摂取量と、死亡および循環器疾患発症のリスクとの間に逆相関関係が見られることを示し、乳製品の積極的な摂取を支持するものとなりました。

 論文は、2018年9月11日付の英国Lancet誌電子版に掲載されています(*1)。

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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