タバコを吸う人はインフルエンザの発症リスクが5倍以上
「喫煙者ほどワクチン接種が必要である可能性が示された」と研究者
大西淳子=医学ジャーナリスト
タバコを吸う人(喫煙者)は、タバコを吸わない人(非喫煙者)に比べてインフルエンザにかかるリスクが約5.7倍になることが、英国で行われた研究で明らかになりました。

タバコは呼吸器の免疫系に悪影響を及ぼすことが知られていた
喫煙は、気道の構造を変化させ、呼吸器の免疫系に悪影響を及ぼすことが知られています。これまで、喫煙者はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの慢性呼吸器疾患や、肺炎などの急性呼吸器感染症を発症しやすいことが示されていましたが、喫煙とインフルエンザとの関係については、十分なデータは示されていませんでした。
今回、英Nottingham大学病院のHannah Lawrence氏らは、非喫煙者と比較した喫煙者のインフルエンザ発症リスクの大きさを明らかにするために、これまでに行われた、喫煙とインフルエンザの関係について検討した複数の研究を対象に、系統的レビューとメタ分析(*1)を行いました。
5種類の文献データベースに2017年11月7日までに登録されていた研究の中から、喫煙者と非喫煙者のインフルエンザ発症リスクについて比較していた研究を選出し、条件を満たした9件の研究(対象者は計4万685人)を分析対象にしました。
9件のうち6件は、症状に基づいてインフルエンザを診断していました。残りの3件は、インフルエンザウイルスの感染を調べる検査を行い、陽性となった患者(確定例)を分析していました。