タバコを吸う人はインフルエンザの発症リスクが5倍以上
「喫煙者ほどワクチン接種が必要である可能性が示された」と研究者
大西淳子=医学ジャーナリスト
まず、確定例を対象に行われた3件の研究では、インフルエンザ患者に占める喫煙者の割合は、それぞれ27%から42%(平均は31.8%)と報告されていました。インフルエンザではない人々では、喫煙者の割合は3%から14.2%(平均は10.5%)でした。
症状に基づいて診断されていた患者を対象とする研究では、6件中4件が喫煙率を報告していました。発症者における喫煙者の割合は20.3%から57.5%(平均は37.9%)で、インフルエンザではない人々では、21.9%から38.0%(平均は29.1%)でした。
確定例を対象に、喫煙者のインフルエンザ発症リスクを比較したところ、非喫煙者の5.69倍であることが明らかになりました。また、症状に基づいて診断された患者でも、発症リスクは非喫煙者に比べ1.34倍と、喫煙者の方が34%高くなっていました。
今回の研究で、喫煙者はインフルエンザを発症するリスクが高いことが示されましたが、喫煙をやめれば発症リスクが低下するのかどうかは、現時点では明らかではありません。Lawrence氏らは、「喫煙者ほどワクチン接種が必要である可能性が示された」とした上で、「今後は、既に禁煙した人のリスクを、非喫煙者、喫煙者と比較する研究や、次世代型のタバコ(電子タバコや加熱式タバコ)のユーザーのインフルエンザのリスクについて検討する研究を行う必要がある」と述べています。
論文は、2019年8月26日付のJournal of Infection誌電子版に掲載されています(*2)。
*2 Lawrence H, et al. J Infect. 2019 Nov;79(5):401-406.
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