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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

下手なトレーニングが逆効果になるワケ

第41回 トレーニング動作の学習効果の注意点

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

大腿四頭筋とハムストリングスが共収縮する理由

陸上競技のスプリンターがレッグエクステンションばかり行っていると、スプリント能力が落ちてしまう危険性がある。(©PaylessImages-123rf)
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 なぜ、スプリンターの大腿四頭筋とハムストリングスは共収縮してしまうのでしょうか。実は、そうしないと強い動作を安定して続けることができないからです。というのも、スプリント動作が強くなればなるほど、膝関節が外にズレる方向に回転力が働きます。そこで関節が外れないように、ハムストリングスがうまく押さえつけながら伸展動作を行うような仕組みになっているのです。

 股関節の場合は、梨状筋、閉鎖筋、双子筋といった細かい筋肉(ローカルマッスル)が複雑にサポートすることによって、大きな動作を行うときも安定したポジションがキープできるようになっています。しかし、膝関節にはローカルマッスルがありません。その代わり、ハムストリングスが力を発揮することで安定した膝の伸展を実現させています。だから、ハムストリングスのほうが大腿四頭筋よりも関節中心に近いところに付着しています。

 ハムストリングスは股関節の伸筋でもあるので、身体を大きく伸ばして走る動作をつくりながら、膝関節を安定させるという2つの役割を同時に担っています。それをスムーズに行うためには、大腿四頭筋との絶妙な共収縮が求められます。スプリンターは無意識のうちに、そうした筋肉の使い方を行っていることになります。

 そういう動作を日頃から繰り返しているので、大腿四頭筋を使って膝を伸ばすという課題を与えたときに、半ば自動的にハムストリングスが働いてしまう。一方、中長距離選手は力強くパワフルな動作を継続的に行うわけではないので、レッグエクステンションを行うときも、大腿四頭筋はしっかり働くけれどもハムストリングスは働かない、という状況をつくれるようです。

 ということは、スプリンターの膝の伸展筋力が強くないというのは、決して悪いことではない。ハムストリングスがしっかり働いているということの証明ですから、力強く走るという実動作にとっては、むしろプラスであるといえるでしょう。

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