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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

トレーニングによる成果と筋肉量が一致しない不思議

第40回 トレーニング動作の学習効果

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

ウェイトリフターはスクワットがうまい?

 下の図はスクワットを8週間行った後の筋力増加を示したものです。驚くべきことに、スクワットの1RMは実に70%も伸びています。ところがレッグプレスでは30%、膝の伸展筋力は5%ほどしか伸びていません。

[画像のクリックで拡大表示]

 また20年ほど前、私の研究室でウェイトリフティングとボディビルのトップ選手の筋力を評価した際、レッグエクステンションと膝の伸展筋力では、ボディビルダーのほうが圧倒的に強いという結果が出ました。ところが、筋量ではボディビルダーのほうが勝っているにもかかわらず、膝と股関節を一気に伸ばすハックスクワットという種目(スクワットに近い動作)では、ウェイトリフターのほうが高い記録を出しました。

 要因としては、ウェイトリフターの普段のトレーニングはスクワットやデッドリフトが中心で、レッグエクステンションはあまり行わないということが挙げられるでしょう。一方、ボディビルダーはスクワットも行いますが、それと同等かそれ以上に、大腿四頭筋を直接的に鍛えるためのレッグエクステンションを行います。それぞれの種目に割かれた時間の違いによって、測定した際のパフォーマンスも変わってきます。これも長期的な動作の学習効果。平たいいい方をすると、ウェイトリフターのほうがスクワットがうまい、ということになります。

【1】筋肉が太くなって強くなること
【2】動作が上手になること
【3】神経系の抑制が低減されること
筋力増加には3つの要素が含まれている。


(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
“筋肉博士”石井直方先生の連載が1冊になって好評発売中!
『石井直方の筋肉の科学』
B5判、140ページ、1500円+税 発行/ベースボール・マガジン社

 日経Goodayのサイトでご紹介している「“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学」の連載が本になりました。

 筋肉の基本的な仕組みから、理想的なトレーニング方法まで、専門的に解説。

 全国の書店、またはベースボール・マガジン社サイトでお買いお求めください。

こちらからでもご購入いただけます
ベースボール・マガジン社 商品検索&販売サイト


この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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