“筋肉博士”石井直方先生(東京大学教授)が、筋肉のメカニズムや機能を毎回わかりやすく解説していきます。筋肉をつけるために選ぶべきトレーニング方法は、年齢によっても変わってきます。成長期は強い負荷を避け、低強度で高回数のトレーニングが向いていると石井先生は話します。では、中高年になったらどんなトレーニングが最適なのでしょうか。
「強度重視型」と「回数重視型」のトレーニング
前回説明したように、現場のトレーニングにはさまざまな方法があり、それはどんな結果を求めるかによって変わってきます。
バーベルやダンベルなどを使ったトレーニングでは、70~85%1RMがオーソドックスな負荷になりますが、それ以外の重さを使用するとしたら、大きく分けて「強度重視型」と「回数重視型」が挙げられます。
強度重視型は、絶対的な筋力を瞬間的に発揮することが目的で、90%1RM以上の負荷を使うのが一般的です。パワーリフティング、ウェイトリフティング、ラグビーなどのパワー系の競技、あるいは、そのほかのスポーツでも瞬間的な筋力発揮を求められることがあれば、強度重視型が有効です。大きな筋力を出せる筋肉を養いながら、実質的に大きな負荷に耐える身体も同時につくられていくので、競技力アップに結びつきやすいトレーニングであるといえるでしょう。
一方、回数重視型は主に30~65%1RMの負荷、もしくは自重を使い、回数を増やして追い込んでいく方法です。回数が増えると精神的にキツくなりますが、そういう経験を積むことで、ここ一番の場面で力を発揮できる能力が身に付いてくるはずです。

