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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

自分の“筋力の全貌”を把握するのに適した測定法とは

第37回 等速性筋力と等張力性短縮速度の測定

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

筋力の全貌を把握するには等張力性条件の測定がベスト

 先述の等速性筋力計はモーターで動かしているため、速度に限りがあります。いい方を換えると、人間が発揮できる速度すべてに合わせられるほどの、性能のいい等速性筋力計はありません。現在ある等速性筋力計の3倍ほどの速度まで精度よく出せる装置があれば、かなり広範囲にわたって測定が可能ですが、実際に人間が出せる最大の速度に比べると、等速性筋力計がカバーできる速度はずいぶん遅い。等速性筋力計で測れる力―速度関係は、全体の力―速度関係の3分の1程度にすぎません。ところが、等張力性短縮速度を測定すると、負荷が軽くて速度の速いところから、負荷が重くて速度がゼロになるところまで、ほぼ全域を測定することができるわけです。

 ということで、筋力の全貌を把握するには、等張力性短縮速度を測るのがベスト。しかし、残念ながら、この測定方法は非常に難しいというのが現状です。まず、慣性などの影響まで考慮された正確な測定装置を作ることが困難ですし、測定できたとしても、今度はデータを処理して分析する専門的な知識が必要になります。スポーツ動作に直結する筋力の評価という点では等張力性短縮速度を知ることが理想ですが、いつでも誰でもそれが測定できるようになるまでには、まだしばらく時間がかかりそうです。

等張力性短縮速度を測定すると、負荷が軽くて速度の速いところから、
負荷が重くて速度がゼロになるところまで、
ほぼ全域を測定することができる…。


(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
“筋肉博士”石井直方先生の連載が1冊になって好評発売中!
『石井直方の筋肉の科学』
B5判、140ページ、1500円+税 発行/ベースボール・マガジン社

 日経Goodayのサイトでご紹介している「“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学」の連載が本になりました。

 筋肉の基本的な仕組みから、理想的なトレーニング方法まで、専門的に解説。

 全国の書店、またはベースボール・マガジン社サイトでお買いお求めください。

こちらからでもご購入いただけます
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この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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