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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

簡単なようで難しい? 握力や背筋力を正しく測定する方法とは

第36回 “筋肉そのものの性質”を知るのに適した等尺性随意最大筋力の測定

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

筋肉の立ち上がり速度を高めるトレーニング

 等尺性随意最大筋力は基本的に止まった状態で測定するものですが、そのデータを基に、筋力を一気呵成にピークにもっていく、「筋力発揮速度」というスポーツ競技に重要な要素を評価することができます。

 最大筋力が最終的に高い人でも、筋力を発揮し始めてから0.5~1秒という時間をかけてゆっくり力が上がっていくタイプである場合、その筋力を素早い動作に結びつけることは難しくなります。素早い動作というと、例えば200~300ミリ秒といった短い時間での筋力発揮が要求されるので、その間に筋力を立ち上げることができるかどうかが問題となってきます。

[画像のクリックで拡大表示]

 図にあるように、筋力の立ち上がりの曲線からピークの半分に達するまでにかかる時間を測定すると、「2分の1立ち上がり時間」と呼ばれる数値を出すことができます。これが筋力発揮速度の有効な指標になります。2分の1立ち上がり時間が短いほど、筋力がピークに達する時間が速いということ。これを筋力トレーニングで高めていくことが、素早いスポーツ動作の下地になっていくのです。その上でスポーツ独自の技術練習をすれば、パフォーマンスの向上も期待できるでしょう。

 普通のトレーニングでは、筋力発揮速度を高めることはなかなかできません。負荷が重くなるほど負荷を動かすことが重要になってくるため、立ち上がりの速さには結びつきにくいのです。だからといって、重い負荷を急速に跳ね上げようとすると、ケガをする危険性が高まります。

 筋力発揮速度を高めるには、少し軽めの負荷を使い、瞬間的に大きな力を出して素早く動かす、いわゆるバリスティックなトレーニングが求められます。負荷としては1RMの30~50%ほどで十分。ただし、一気に負荷を持ち上げるというタイプのトレーニングをすることです。

筋力発揮速度を高めるには、
少し軽めの負荷を使い、瞬間的に大きな力を出して
素早く動かすトレーニングが求められる。


(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
“筋肉博士”石井直方先生の連載が1冊になって好評発売中!
『石井直方の筋肉の科学』
B5判、140ページ、1500円+税 発行/ベースボール・マガジン社

 日経Goodayのサイトでご紹介している「“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学」の連載が本になりました。

 筋肉の基本的な仕組みから、理想的なトレーニング方法まで、専門的に解説。

 全国の書店、またはベースボール・マガジン社サイトでお買いお求めください。

こちらからでもご購入いただけます
ベースボール・マガジン社 商品検索&販売サイト


この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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