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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

簡単なようで難しい? 握力や背筋力を正しく測定する方法とは

第36回 “筋肉そのものの性質”を知るのに適した等尺性随意最大筋力の測定

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

 運動に慣れていない人が初めてトレーニングをすると、3~4カ月で1RM筋力が2倍になったりすることがあります。ところが、等尺性随意最大筋力を測定してみると、5~10%増し程度であることが多い。これは5~10%が筋力の増加であり、残り95~90%の増加分は学習効果によって動作が上手になった、と考えるのが自然です。

 この例からもわかるように、筋肉そのものの性質を知ることが重要な場合は、1RM筋力以外の測定を行ったほうがいいのです。そのなかで等尺性随意最大筋力の測定は最も手軽な方法ですが、測定の仕方には十分に気を付ける必要があります。例えば、握力を測るときにグリップの幅はどのくらいが最適なのか。その調整によって、測定値が10%前後も変わってくることがあります。手の形も人によって違うため、指関節の位置を同じにしたところで同じような最大筋力が発揮できるとは限りません。これまで山のように集積されてきた握力のデータも、恐らくそこまで繊細な考慮がされているとは思えません。

 背筋力も同様で、チェーンの長さをどのくらいに設定するかによって、数値はかなり変わってきます。もちろん基本的な姿勢の規定はありますが、すべての人がそれを厳密に遂行してはいないでしょう。同じ装置で測定しても、誰もが同じ条件になるとは限りません。やり方そのものは簡単なのですが、正確な数値を出すのは難しい。それが、等尺性随意最大筋力を測定する際の注意点です。

筋力は関節角度によって変動する

 また、筋力は関節角度、つまり力を発揮しているときの筋肉の長さによって変動します。例えば肘の屈曲の場合、関節が伸びているときと90度くらいの角度のときとではかなり違う値になります。筋力(肘の回転力で見た場合)が最大になるのは100~110度の間で、それより伸びたり曲がったりしていると、より低い筋力の値になってしまうということになります。

 この関節角度と筋力との関係をしっかり理解した上で、筋力を測る際には同じポジション、同じ条件で行うようにしましょう。数値が上昇したと喜んでも、それがフォームの違いによるものだったとしたら、それは筋力を正しく評価していることにはなりません。もっとも、個人のデータを測定する場合は、トレーニング前とトレーニング後でやり方やフォームが大きく変わるということはないはずなので、それほど難しいことではないと思います。

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