トレーニング容量を増やすことで筋肉に加わる刺激とは?
では、トレーニング容量を増やすことにより、筋肉にはどういう刺激が加わっているのでしょうか。いろいろなものがあるなかで、かつて非常に重視されていたのが、「トレーニング容量に依存して、トレーニング後に筋肉に作用するホルモンの分泌が増える」という考え方でした。
実際、成長ホルモンは100%1RMを1回上げてもあまり分泌されませんが、80%1RM×8回×3セットというトレーニングを行うと分泌が高まります。これについては私の研究室にもデータがありますし、アメリカやそのほかの国でも同様のデータをたくさん出しているので、この現象が事実であることは間違いありません。
その結果から、筋肉を太くするには成長ホルモンが重要であると考えられてきました。私たちも、トレーニング後の成長ホルモンの分泌と筋肥大との関係について実験を繰り返していました。ただ、これは1990年から2000年代前半頃まで有力だった説で、最近の研究では、成長ホルモンはダイレクトに筋肥大に関わっていないのではないかという考え方が強くなってきています。このことについては、次回詳しくお話ししましょう。
「強い力を出す」ことと、
「トレーニングのボリュームを増やす」こととが、
ちょうどよくマッチしたところが、
70~80%1RM程度と考えられる
(構成:本島燈家)
東京大学教授

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