力発揮の時間が短いと筋肉を太くする反応は起こりにくい
プライオメトリックトレーニング、バリスティックトレーニングなどで筋肉を強くする効果が落ちてしまう理由は、力を出している時間が短いからです。筋力のピークが高くても、力発揮の時間が短いと、筋肉を太くする反応は起こりにくいようなのです。
さらに、筋肉を太くするには仕事(エネルギーの量)も重要と考えられます。ある重さを一定の距離上げると、仕事は重さ×距離に相当します。トレーニングでは重さ×回数を「容量」(ボリューム)と表現し、これが仕事の目安になります。
具体的な例を挙げて説明してみましょう。例えば100%1RM(やっと1回上がる重さを1回上げる)というトレーニングは、反復回数が1回なのでトレーニングの容量は単純計算すると100×1。容量の単位でいうと、1セット当たり「100パーセンテージ1RMレップ」という値になります。では、80%1RMまで落とし、8回上げた場合はどうでしょう。80×8=640なので「640パーセンテージ1RMレップス」という容量になります。重さを20%落とすことによって、刺激の強度は0.8倍に下がりますが、1セット当たりのトレーニング容量は6.4倍にもなるのです。
このように、ほんの少し強度を落とすことによってトレーニングの容量は大きく増えますが、強度を落としすぎると今度は強い力発揮という要素がダウンしてしまいます。強い力を出すということと、トレーニングのボリュームを増やすということとが、ちょうどよくマッチしたところが、70~80%1RM程度であろうと考えられます。
ということで、適切な筋力トレーニングの方法は、少し負荷を軽くし、力を発揮する時間を長くするために上げ下ろしに1~2秒間かけて、じっくり動作を繰り返しながら十分なボリュームをこなす、ということになるわけです。
% 1RM | 反復回数 |
100% | 1回 |
95% | 2回 |
93% | 3回 |
90% | 4回 |
87% | 5回 |
85% | 6回 |
80% | 8回 |
77% | 9回 |
75% | 10回 |
70% | 12回 |
67% | 15回 |
65% | 18回 |
60% | 20回 |
60%以下 | 20回以上 |