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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

1つのトレーニングで「あれもこれも」と過剰な期待をするのは禁物!

第34回 筋トレで1つのメニューで鍛えられるのは1パートのみ

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

トレーニング効果を測定する4つの基準

 トレーニング効果を正確に捉えるには、4番目の測定と評価のやり方が大切となります。では、どう測定すればいいのかというと、その基準は下記の4つに分けられます。

【1】1RM筋力(最大挙上負荷重量)
【2】等尺性随意最大筋力
【3】等速性筋力
【4】等張力性短縮速度(力-速度関係)

【1】は、トレーニングに直接的に関係する最も単純な指標。正しい挙上スタイルで1回持ち上げられる最大の重量のことです。

【2】は、握力計や背筋力計でおなじみの測定方法ですが、身近な機械では握力と背筋力しか測れないという難点があります。工夫をすればほかの種目にも応用が可能かもしれませんが、測定としてはやりにくいといえます。

【3】は、筋肉の動的な性質を、等尺性も含めて測ることができるので、筋肉の機能の詳細な変化を分析することができますが、等速性ダイナモメーターという専門の機械が必要になります。ジムなどに置いてある場合もありますが、まだまだ目にするチャンスは限られています。

【4】は、力-速度関係を等張力性条件という特殊な条件の下で測るもので、筋肉の特性をくまなく測定するには最適です。問題は測定の仕方が難しいこと。やはり専門の機械が必要になりますが、まず一般の施設には置いてありません。研究機関のような特殊な場所でないと測定できない、と考えていいでしょう。

 ということで、現場レベルで筋力を測定するには、1RM筋力を利用するのが一番。しかも1RM筋力は、トレーニング関係の学術論文でも“筋力”の基準として記述することができるものです。1RMさえしっかり測っていれば、それは筋力を測っているということになるわけです。次回はこの1RM筋力について、もう少し詳しく説明していきたいと思います。

1つのトレーニングに求めていいものは1つだけ。
別のことを望むのであれば、
それを目的とした別のトレーニングをする必要がある。


(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
“筋肉博士”石井直方先生の連載が1冊になって好評発売中!
『石井直方の筋肉の科学』
B5判、140ページ、1500円+税 発行/ベースボール・マガジン社

 日経Goodayのサイトでご紹介している「“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学」の連載が本になりました。

 筋肉の基本的な仕組みから、理想的なトレーニング方法まで、専門的に解説。

 全国の書店、またはベースボール・マガジン社サイトでお買いお求めください。

こちらからでもご購入いただけます
ベースボール・マガジン社 商品検索&販売サイト


この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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