筋線維は長さに応じて 張力が変化する
等尺性収縮をしている筋肉の力を測定するのが難しいことは前回で説明しましたが、筋線維レベルになると測定時の姿勢は関係なくなるので、厳密な等尺性収縮をさせて実験をすることができます。
筋肉をバラバラにして筋線維1本だけを採取し、電気刺激で最大の張力を発揮させる。その際、筋線維が縮もうとしたら外から引っ張り、逆に伸ばされそうになったら縮ませるようにする。センサーで筋線維の長さをモニターしながら、常に一定の長さが維持されるようにモーターで調節するのです(厳密にいうと、筋収縮の単位である筋節=サルコメアの長さが一定になるようにフィードバックをかける)。それができる機械(サーボ系、あるいはフィードバック系といいます)を利用し、厳密な等尺性条件をつくって実験をしてみると、確かに筋線維は長さに応じて張力が変わっていくことがわかります。
ヒトの筋肉を筋線維レベルで調べるのは難しいので、上記の実験では昔からカエルの筋肉がよく使われています。結果は図1のようになり、筋節の長さが2~2.2マイクロメーターほどになったところで最大の張力が発揮されます。それより長くなったり、短くなったりすると、それに比例して張力が落ちてしまうのです。
