熱産生に関わる新発見
もちろん褐色脂肪はヒトにもあり、サーモグラフィーで見ると、主に胸から脇の下にかけて分布しているのがわかります。最近では、褐色脂肪がダイエット関連の本などで話題になっているのをご存じの方も多いでしょう。
ただ、ヒトの場合、その量はクマなどに比べるときわめて少なく、40g前後とされています。それが脂肪をエネルギーとする熱源として働いているのは間違いないのですが、実際にどのくらい熱産生の役に立っているかというのはよくわからないのです。むしろ体重の約40%(20~30kg)を占める筋肉のほうが、重さとしては1000倍ほども多いのですから、ずっと大きな役割を果たしているのではないかと考えられてきました。
ところが、10年ほど前から状況が劇的に変わりました。褐色脂肪細胞や筋肉が熱を出すための仕組みに関わっているタンパク質が見つかったからです。これについては、次回に 詳しく説明したいと思います。
全体のエネルギー生産に占める
力学的なパワーの割合が一番大きなところは、
「筋肉のエネルギー効率がいい」といえる。
(構成:本島燈家)
東京大学教授

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