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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

スポーツでスピードを高める第1条件とは

第7回 高く跳べるかどうかに体重の「重い」「軽い」は関係ない!?

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

スピードを生み出すのは力

 スポーツの現場では、力とスピードとは無関係といわれていた時代もありました。筋力を鍛えることで力を大きくしても、スピードはつかないと考えられていたのです。今でもそれに近い思想を抱いている指導者がいるかもしれません。

 しかし、ここまで述べてきたように、力とスピードが無関係というのは物理学的に正しくない表現です。筋肉が与える力と物体の速度とには厳密な関係があり、スピードを出すための第1の要素は力なのです。パフォーマンスを高めたいなら、これは頭に入れておくべきでしょう。

 背筋力の数値を競う、という競技はありません。どんなスポーツでも、動きながら高いパフォーマンスを発揮することが求められます。ですから、最終的には動作のスピードが問題になってくるのです。

 速く動ける選手は高い能力を発揮しやすいといえますし、ジャンプ力も地面を離れる瞬間のスピードが重要な意味をもっています。高く跳ぶために体重を軽くするという考えもあるかもしれませんが、実は単純に高く跳べるかどうかを決定するのは離地速度です。体重はあまり関係なく、太った人でも痩せた人でも、地面を離れるスピードが速ければ、それに比 例して高く跳べるのです。

 現場の指導者、アスリートの人たちは、この基本的な理論をしっかりと認識しておきましょう。

(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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